バスで二時間ほど走ると、目的地の公園に到着した。外に出た瞬間、緑の匂いと新鮮な空気が広がって、思わず深呼吸する。広い空の下だと、気持ちも少しだけ軽くなる気がした。
一目散に皆がバスを降りていく。
私もその流れに乗って外に出ると、学年主任の先生がマイクを持って「並んでくださーい」と叫んでいた。集まった生徒たちを前に、先生は仏頂面で一日のスケジュールと集合時間を説明する。
全体解散になった瞬間、あちこちから「どこ行く?」「ご飯先に食べようよ!」と声が上がった。
「佑茉ちゃん、行こ」
角谷さんがさらりと私の腕を取る。その自然さがなんだか心強くて、私は素直に隣に並んだ。
「そこの男子も早く」
角谷さんが振り返りながら林田くんと雉真くんにも声をかけると、ふたりはぱたぱたと後をついてきた。
「角谷さん、どこ行く?ご飯食べる?」
「うん、そうだね。何食べようか……えっと、雉真くんと林田くんだったっけ。一緒に行こう」
ふたりは「うん」「あぁ」とそれぞれ返事をして頷いた。一緒にいるのは正直まだ慣れないけれど、角谷さんに迷惑はかけたくない。
私はできるだけ自然に振る舞おうと心の中で自分に言い聞かせながら、みんなの後についていく。
「あの売店でなんか買って、ベンチで食べる?」
「そうだね、いいと思う。じゃあ……佑茉ちゃんは雉真くんと場所取りしてきてくれる? 私は林田くんと何か買ってくるから、なんかあったら連絡して」
「えっ、私も買いに行く……」
「ダメよ」
角谷さんはにっこりしながらも、きっぱりと言った。
「だって、雉真くんがさっきからずっと佑茉ちゃんと話したそうにしてるんだもの。二人きりにさせろ〜って顔してこっち見てくるんだよ。そうだよね?」
雉真くんの方を見ると、彼は少し慌てたように目を逸らした。それが図星だという証拠だと思うと、なんとなく落ち着かなくなる。
「じゃ、ファイト〜」
角谷さんは明るくそう言って、林田くんを連れてテイクアウトのできるお店の方へ歩いていってしまった。残されてしまった。
雉真くんを放置する選択肢はない。それをしてしまったら、ひどい人になってしまう。それだけは避けたい……意を決して口を開いた。



