そーちゃんの溺愛が止まらない⁉ ~今日も世界一可愛い君へ、ご褒美ハグを10秒だけ。~

午前中の授業がすべて終わり、待ちに待ったお昼休み。
……のはずなんだけど、私の心臓は4時間目のチャイムが鳴った瞬間から、すでに嫌な予感でバクバクと音を立てていた。
「ゆっちゃん、お弁当食べよ!」
教室の後ろの席から、自分の机をガタガタと引きずって私の目の前までやってきたのは、もちろんそーちゃんだ。
いつもの爽やかイケメンスマイル。だけど、その目は完全に「獲物(私)を見つけた大型犬」のそれになっている。
……あ、ゆっちゃんって言うのはこの私です。高橋優愛です。
そーちゃんは私を「ゆっちゃん」って呼んだり、「優愛」って呼んだりしてるんです!
「う、うん……。じゃあ机、くっつけよっか」
「あ、待って。優愛、今日のそのお弁当箱、新しく買ったやつ?」
「えっ? うん、そうだけど……よく気づいたね?」
ほんの少しパステルピンクの色味が変わっただけの、新しいお弁当箱。
自分でも言わなきゃ気づかないレベルなのに、そーちゃんは嬉しそうに目を輝かせた。
「気づくに決まってるじゃん! 俺、優愛のこと世界で一番見てる自信あるからね。っていうか、そのピンクが優愛の色白な手に似合いすぎててヤバい。お弁当箱になりたい。毎日、優愛に両手で優しく包まれるお弁当箱が羨ましすぎて嫉妬で狂いそう」
「ちょっと! 声が大きいってばぁ……!」
慌ててそーちゃんの口を手で塞ごうとするけれど、そーちゃんは嬉しそうにその手を両手で包み込んで、頬をすりすり寄せてくる。
「周りの奴らなんて関係ないよ。ああ、ゆっちゃんの手、今日もすべすべで柔らかくて最高……。ねえ、午後からの授業全部サボって、どっか2人きりになれる場所行かない? 俺、今すぐゆっちゃんをご褒美ハグで10秒……いや、10時間くらい、ぎゅーーーって締め付けないと、好きが溢れて爆発しちゃうんだけど」
「だ、だめ! 授業はちゃんと受けるのっ! もう、そーちゃん甘やかしすぎ……!」
周りのクラスメイトたちが「また一ノ瀬がやってるよ……」と言いたげな、生温かい目で見守っているのがわかる。
恥ずかしすぎて、お弁当の唐揚げの味が1ミリもわからない。
「だってゆっちゃんが、そんなに真っ赤になって俺の服の裾を掴んでるのが悪いんじゃん。可愛すぎて心臓に悪い。ほら、もっとこっちおいで?」
私の「嫌っ」を「もっとやって」に脳内自動変換したそーちゃんは、机の距離をゼロにして、私の顔をじっと覗き込んできたのだった。