そーちゃんの溺愛が止まらない⁉ ~今日も世界一可愛い君へ、ご褒美ハグを10秒だけ。~

12月中旬。
街がクリスマス一色に染まる中、今日は私の17回目の誕生日だった。
「──ぶー、ぶー」
朝の6時00分。
いつもより1時間も早くスマホが激しく震えた。
【ポップアップ通知:そーちゃん】
『優愛、お誕生日おめでとう!!! 17年前の今日、この世界に本物の天使を誕生させてくれたご両親に、今すぐ五体投地で感謝の礼を捧げに行きたい。嬉しすぎて昨日の夜から心臓が2ビートで暴走して一睡もできなかった! 最高の1日にしようね! ちなみにあと5分で家着く!』
「嬉しいけど早すぎだし、一睡もしてないって大丈夫なのぉ……っ!?」
ベッドの中で通知を見て、朝一番のニヤけ顔を枕に押し付ける。
相変わらず愛のエンジンが全開すぎる。でも、そんなそーちゃんのメッセージが、私にとっては世界で一番のプレゼントだった。
猛ダッシュで制服に着替え、髪にほんの少しだけお気に入りのヘアピンをつけて玄関を開けると、そこにはマフラーに顔を少し埋めたそーちゃんが、白い息を吐きながら待っていた。
「おはよう、そーちゃん。寒いのに待たせちゃってごめんね」
「……ッ!!!!!(声にならない絶叫)」
ドアを開けた瞬間、そーちゃんはまたしても時が止まったように硬直した。
ドラマのワンシーンみたいに両手で顔を覆い、壁に寄りかかる。
「そ、そーちゃん! 大丈夫!?」
「ち、違うんだ優愛……。今日の優愛、誕生日の主役オーラと、その、お耳の上のキラキラしたヘアピンが尊すぎて、俺の網膜が幸せで焼き切れそう。無理、可愛い、今すぐマイホームに保護したい……」
「もう! 朝から寒さが吹き飛ぶくらい大げさなんだからっ」
真っ赤になりながらそーちゃんの手を引くと、待ってましたとばかりに、私の手をガシッと恋人繋ぎでロックした。
ポケットの中で繋がれたそーちゃんの手が、驚くほど温かくて、胸の奥がじんわりと甘い幸福感で満たされていく。


そして放課後。
「優愛、今日のご飯は俺に任せて!」というそーちゃんに連れられてやってきたのは、なんと、あのお部屋デート以来となる『そーちゃんの家』だった。
リビングに入ると、そこには信じられない光景が広がっていた。
「わあ……っ、すごい……!!」
部屋の壁には『Happy Birthday YUA』の文字がキラキラ輝いている。
そしてテーブルの上には、まるでお店のようなオシャレで美味しそうな料理が、ずらりと並んでいたのだ。
「そーちゃん、これ全部作ったの……!?」
「うん! 優愛の好きなもの、お母さんに隠し味訊きながら全部手作りしたんだ。……あ、それとね、これが俺からの、一番のプレゼント」
そーちゃんは少し照れくさそに微笑むと、ジャケットのポケットから小さな、だけど品のあるリボンのついた箱を取り出した。
ドキドキしながら箱を開けると、そこには、小ぶりで上品なピンクゴールドのネックレスが入っていた。
中央の小さなストーンが、部屋の明かりを反射してきらきらと輝いている。
「これ……っ、すっごく可愛い……!」
「良かった。優愛にずっと、俺の『特別』を身につけていてほしくてさ。……つけてもいい?」
「うん……お願い」
私は後ろを向き、髪をそっと持ち上げる。
首元にそーちゃんの冷たい指先がほんの少し触れた瞬間、そこから火がつきそうに熱くなった。
カチャ、と小さな金具が留まる音がして、そーちゃんの手が、そのまま私の肩にそっと置かれる。
「優愛。17歳のお誕生日、本当におめでとう。生まれてきてくれて、俺と出会ってくれて、本当にありがとう」
後ろから耳元で、いつもより少しトーンの下がった、だけどこの上なく優しい声で囁かれる。
ずるい。
そんなの、嬉しすぎて涙が出ちゃうじゃん……!
私は恥ずかしさで爆発しそうな心臓を必死に抑え、振り返ってそーちゃんの胸に、ぽすん、とおでこを預けた。
今度は逃げずに、自分からそーちゃんの腰に手を回して、ぎゅっと抱きしめる。
「っ……!!」
「……そーちゃん、ありがとう。私、世界一幸せ。……大好き、だよ」
言葉にした瞬間、世界が反転した。
「……っっ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!!(限界突破の悶絶)」
次の瞬間、強い力で、だけど壊れ物を扱うみたいに優しく、そーちゃんの大きな腕が私の体を包み込んだ。
耳元で聞こえる、ドクドクと信じられないくらい速いそーちゃんの鼓動。
「無理無理無理!! 自分からホールドして『大好き』とか、俺、嬉しすぎて本当に明日地球が滅亡するかもしれない!! っていうか、ネックレス似合いすぎてて無理、一生離したくない。あと10万秒このまま延長していい!?」
「だから10万秒は長いってばぁ……っ(笑)」
私の「ダメ」は、やっぱりそーちゃんの脳内で「もっと強く抱きしめて」に自動変換されたみたいで、結局私たちが美味しいご飯を食べ始めたのは、すっかり部屋のイルミネーションが映える時間になってからのことだった。
胸元できらめくネックレスの重みを感じながら、私は「直接甘えられる日が、ちゃんとここにあるんだな」と、暖房の効いた部屋の中で、世界一甘い17歳の冬を噛み締めていたのだった。