「……あ、もうこんな時間。優愛、ちょっと下から冷たいお茶おかわり持ってくるね」
「うん、ありがとう、そーちゃん」
そーちゃんがパタパタと部屋を出て行った瞬間、私はそれまで維持していた緊張の糸がぷつりと切れ、そーちゃんのベッドの上にバサッと倒れ込んだ。
「ふええええええええええん!!! 心臓がもたない!!! バックハグって何!? 密着度高すぎて、そーちゃんの腹筋の硬さまで背中に伝わってきたんですけど!?」
枕に顔を埋めて、今日何度目か分からないジタバタを繰り広げる。
すると、枕からふわりと、そーちゃんのつけているシトラス系の香水の香りと、彼自身の体温の匂いが混ざり合った、特濃の「そーちゃんの香り」が鼻腔を突き抜けた。
「……っっっ!!!(声にならない悲鳴)」
無理。
これ、そーちゃんが毎日ここで寝てるってことでしょ!?
私は今、世界で一番尊い聖域の、そのさらに中心部に足を踏み入れてしまっている。
「は、早く起き上がらなきゃ……! こんなの、まるで私がそーちゃんの匂いを嗅ぎにいった変態みたいじゃん……!」
真っ赤になって飛び起きようとした、その時だった。
カチャ。
「お待たせ、ゆっちゃん。これ、母さんが買っておいてくれた──」
「ひゃいっっ!?」
戻ってきたそーちゃんと、ベッドの上で這いつくばった状態の私が、完璧に目が合った。
「…………」
「…………あ、あの、これは、その、ベッドがフカフカだなって思って、ちょっと、あの……っ」
言い訳が苦しすぎる。完全に言い逃れできない不審者ムーブだ。
終わった。
嫌われた。
引かれた。私の人生、ここで強制終了──。
「……ゆっちゃん」
「は、はい……!」
そーちゃんはトレイを机に置くと、ゆらり、と限界まで瞳孔を開いたアブナイ笑顔で私に近づいてきた。
そのままベッドのフチに膝をつき、私を見下ろす。
「それってさ……俺の匂い、クンクンしてたってこと? ……やばい、可愛すぎて脳の血管が何本か弾け飛んだ音がした。ねえ、もう一回やって。なんなら俺の胸に直接顔埋めて一日中クンクンしてていいよ!? はい、どうぞ!!」
「しないよぉぉぉ!! 忘れて!! 今のなし!!」
胸をはだけさせんばかりの勢いで迫ってくるそーちゃんを、私は真っ赤になりながら両手で押し返すのだった。
「うん、ありがとう、そーちゃん」
そーちゃんがパタパタと部屋を出て行った瞬間、私はそれまで維持していた緊張の糸がぷつりと切れ、そーちゃんのベッドの上にバサッと倒れ込んだ。
「ふええええええええええん!!! 心臓がもたない!!! バックハグって何!? 密着度高すぎて、そーちゃんの腹筋の硬さまで背中に伝わってきたんですけど!?」
枕に顔を埋めて、今日何度目か分からないジタバタを繰り広げる。
すると、枕からふわりと、そーちゃんのつけているシトラス系の香水の香りと、彼自身の体温の匂いが混ざり合った、特濃の「そーちゃんの香り」が鼻腔を突き抜けた。
「……っっっ!!!(声にならない悲鳴)」
無理。
これ、そーちゃんが毎日ここで寝てるってことでしょ!?
私は今、世界で一番尊い聖域の、そのさらに中心部に足を踏み入れてしまっている。
「は、早く起き上がらなきゃ……! こんなの、まるで私がそーちゃんの匂いを嗅ぎにいった変態みたいじゃん……!」
真っ赤になって飛び起きようとした、その時だった。
カチャ。
「お待たせ、ゆっちゃん。これ、母さんが買っておいてくれた──」
「ひゃいっっ!?」
戻ってきたそーちゃんと、ベッドの上で這いつくばった状態の私が、完璧に目が合った。
「…………」
「…………あ、あの、これは、その、ベッドがフカフカだなって思って、ちょっと、あの……っ」
言い訳が苦しすぎる。完全に言い逃れできない不審者ムーブだ。
終わった。
嫌われた。
引かれた。私の人生、ここで強制終了──。
「……ゆっちゃん」
「は、はい……!」
そーちゃんはトレイを机に置くと、ゆらり、と限界まで瞳孔を開いたアブナイ笑顔で私に近づいてきた。
そのままベッドのフチに膝をつき、私を見下ろす。
「それってさ……俺の匂い、クンクンしてたってこと? ……やばい、可愛すぎて脳の血管が何本か弾け飛んだ音がした。ねえ、もう一回やって。なんなら俺の胸に直接顔埋めて一日中クンクンしてていいよ!? はい、どうぞ!!」
「しないよぉぉぉ!! 忘れて!! 今のなし!!」
胸をはだけさせんばかりの勢いで迫ってくるそーちゃんを、私は真っ赤になりながら両手で押し返すのだった。



