5月の爽やかな風が、私たちの間を吹き抜けていく。
すっかり緑が濃くなった桜並木の登校路を、私たちは並んで歩く。
そーちゃんは、すれ違う男子生徒がいるたびに、さりげなく私を道路の内側に引き寄せたり、自分の体で隠すようにして歩いていた。
「……そーちゃん、ちょっと過保護すぎない?」
「過保護じゃないよ、正当防衛。だって、こんなに可愛い優愛を他の男に見せるなんて、国家的な損失だし、俺の心臓が嫉妬で千切れて飛んでっちゃうもん。優愛は俺だけの特権だもんね?」
「なっ、何言ってるの……!」
心臓のキャパシティが、登校中にして早くも限界を迎えそうだ。
そーちゃんは、学校が近づいてきても、繋いだ手を離そうとしない。
それどころか、校門が見えてきたところで、急に足を止めて私の顔をじっと覗き込んできた。
「ゆっちゃん」
「え? なに、そーちゃん……」
いつもより少しだけトーンの下がった声で名前を呼ばれ、ドキリとする。
そーちゃんは、繋いでいない方の手を私の耳元に添えると、周りに聞こえないような小さな声で、そっと耳打ちしてきた。
「……今日の放課後さ、俺の家、誰もいないんだよね」
「ひゃっ……!?」
耳に触れたそーちゃんの吐息が熱くて、思わず変な声が出てしまう。
「昨日、屋上でハグさせてくれたでしょ? あれ、嬉しすぎたんだけど……正直、全然足りなくてさ。だから、今日の放課後は、俺の部屋で誰の目も気にしないで、気の済むまで優愛を甘やかしてもいい?」
悪戯っぽく、だけど男の子らしい少し強引な熱を含んだ瞳で見つめられる。
お昼休みの教室でも、屋上でもない。
そーちゃんの部屋で、2人きり。
そんなの、想像しただけで私の心臓が爆発して木っ端微塵になってしまう……!
「だ、だめ……かな?」
また出た、ずるすぎる上目遣い。
断れるわけがない。
むしろ、心の中の限界オタクは「喜んでお邪魔します!!!!」と五体投地で叫んでいる。
「う、うん……。そーちゃんのお家、行く……っ」
「やった! 言ってみるもんだね! ああ、今日の授業、全部秒速で終わらせるわ!!」
私の返信に、そーちゃんは100点満点のワンコ笑顔を炸裂させ、嬉しさのあまり私の手をぶんぶんと振った。
私の「行く」を、今回は脳内自動変換するまでもなく、そーちゃんは1000%の喜びとして受け止めてくれたみたいだ。
すっかり緑が濃くなった桜並木の登校路を、私たちは並んで歩く。
そーちゃんは、すれ違う男子生徒がいるたびに、さりげなく私を道路の内側に引き寄せたり、自分の体で隠すようにして歩いていた。
「……そーちゃん、ちょっと過保護すぎない?」
「過保護じゃないよ、正当防衛。だって、こんなに可愛い優愛を他の男に見せるなんて、国家的な損失だし、俺の心臓が嫉妬で千切れて飛んでっちゃうもん。優愛は俺だけの特権だもんね?」
「なっ、何言ってるの……!」
心臓のキャパシティが、登校中にして早くも限界を迎えそうだ。
そーちゃんは、学校が近づいてきても、繋いだ手を離そうとしない。
それどころか、校門が見えてきたところで、急に足を止めて私の顔をじっと覗き込んできた。
「ゆっちゃん」
「え? なに、そーちゃん……」
いつもより少しだけトーンの下がった声で名前を呼ばれ、ドキリとする。
そーちゃんは、繋いでいない方の手を私の耳元に添えると、周りに聞こえないような小さな声で、そっと耳打ちしてきた。
「……今日の放課後さ、俺の家、誰もいないんだよね」
「ひゃっ……!?」
耳に触れたそーちゃんの吐息が熱くて、思わず変な声が出てしまう。
「昨日、屋上でハグさせてくれたでしょ? あれ、嬉しすぎたんだけど……正直、全然足りなくてさ。だから、今日の放課後は、俺の部屋で誰の目も気にしないで、気の済むまで優愛を甘やかしてもいい?」
悪戯っぽく、だけど男の子らしい少し強引な熱を含んだ瞳で見つめられる。
お昼休みの教室でも、屋上でもない。
そーちゃんの部屋で、2人きり。
そんなの、想像しただけで私の心臓が爆発して木っ端微塵になってしまう……!
「だ、だめ……かな?」
また出た、ずるすぎる上目遣い。
断れるわけがない。
むしろ、心の中の限界オタクは「喜んでお邪魔します!!!!」と五体投地で叫んでいる。
「う、うん……。そーちゃんのお家、行く……っ」
「やった! 言ってみるもんだね! ああ、今日の授業、全部秒速で終わらせるわ!!」
私の返信に、そーちゃんは100点満点のワンコ笑顔を炸裂させ、嬉しさのあまり私の手をぶんぶんと振った。
私の「行く」を、今回は脳内自動変換するまでもなく、そーちゃんは1000%の喜びとして受け止めてくれたみたいだ。



