高校2年生の春。
5月の爽やかな風が、登校路の桜並木を優しく揺らしている。
そのきらめく木漏れ日よりも遥かに眩しい、ある意味「狂気」とも言える溺愛のセリフが、今朝も私の鼓膜に容赦なく叩きつけられていた。
「おはよう、ゆっちゃん! ああ、今日も地球の自転に感謝したくなるくらい世界一可愛いね。あまりにも眩しすぎて一瞬マジで目が潰れるかと思った。今すぐ俺のポケットに入れて誘拐して、すれ違う男全員の目をアイマスクで隠して歩きたいんだけどどう思う?」
「も、もう……っ! 朝から声が大きいよ、そーちゃん!」
私の手を恋人繋ぎでがっちりと握りしめ、キラキラとした100点満点の笑顔で爆弾発言を連発しているのは、一ノ瀬颯太。そうちゃんだ。
クラスの人気者で、人当たりが良くて、女子からは「爽やかなわんこ系男子」なんて呼ばれている私の彼氏だ。
……世間の皆さんは騙されている。
この男、付き合って3ヶ月が経った今、私の前だと彼女への愛が強すぎて完全にIQがゼロになる、重度のご褒美甘やかし彼氏に変貌するのだ。
「だってしょうがないじゃん。今日の優愛、髪型いつもと少し違うでしょ? 15ミリくらい短くなってる。そのうなじが犯罪級に可愛すぎて、俺いま心臓がバクバク言ってて破裂しそう」
「う、うなじ見ないで……! みんな見てるから、手、離してっ」
恥ずかしさで顔が爆発しそうになり、ぎゅっと手を引いて拒否してみる。
けれど、そーちゃんの超ポジティブ脳内フィルターを通ると、私の「嫌っ」は──
「え? 『照れちゃうからもっと強く握って』ってコト? オッケー、任せて!」
「ち、違うってばぁ……!」
さらに強く、指と指が絡められる。
ダメだ、この彼氏、私の言葉を都合よく自動変換しちゃう。
あああ、もう……! 今日もそーちゃんが格好良すぎて、生きてるのが辛い……ッ!!
口では「もう!」と怒りつつも、心の中では彼が好きすぎて限界突破している私、高橋優愛。
世間では「付き合って3ヶ月は破局しやすい壁の時期」なんて言うけれど、私たちの辞書にそんな言葉は1ミリも載っていなかった。
世界一平和で、世界一甘い、私たちのイチャイチャな日常が、今日も幕を開ける。
5月の爽やかな風が、登校路の桜並木を優しく揺らしている。
そのきらめく木漏れ日よりも遥かに眩しい、ある意味「狂気」とも言える溺愛のセリフが、今朝も私の鼓膜に容赦なく叩きつけられていた。
「おはよう、ゆっちゃん! ああ、今日も地球の自転に感謝したくなるくらい世界一可愛いね。あまりにも眩しすぎて一瞬マジで目が潰れるかと思った。今すぐ俺のポケットに入れて誘拐して、すれ違う男全員の目をアイマスクで隠して歩きたいんだけどどう思う?」
「も、もう……っ! 朝から声が大きいよ、そーちゃん!」
私の手を恋人繋ぎでがっちりと握りしめ、キラキラとした100点満点の笑顔で爆弾発言を連発しているのは、一ノ瀬颯太。そうちゃんだ。
クラスの人気者で、人当たりが良くて、女子からは「爽やかなわんこ系男子」なんて呼ばれている私の彼氏だ。
……世間の皆さんは騙されている。
この男、付き合って3ヶ月が経った今、私の前だと彼女への愛が強すぎて完全にIQがゼロになる、重度のご褒美甘やかし彼氏に変貌するのだ。
「だってしょうがないじゃん。今日の優愛、髪型いつもと少し違うでしょ? 15ミリくらい短くなってる。そのうなじが犯罪級に可愛すぎて、俺いま心臓がバクバク言ってて破裂しそう」
「う、うなじ見ないで……! みんな見てるから、手、離してっ」
恥ずかしさで顔が爆発しそうになり、ぎゅっと手を引いて拒否してみる。
けれど、そーちゃんの超ポジティブ脳内フィルターを通ると、私の「嫌っ」は──
「え? 『照れちゃうからもっと強く握って』ってコト? オッケー、任せて!」
「ち、違うってばぁ……!」
さらに強く、指と指が絡められる。
ダメだ、この彼氏、私の言葉を都合よく自動変換しちゃう。
あああ、もう……! 今日もそーちゃんが格好良すぎて、生きてるのが辛い……ッ!!
口では「もう!」と怒りつつも、心の中では彼が好きすぎて限界突破している私、高橋優愛。
世間では「付き合って3ヶ月は破局しやすい壁の時期」なんて言うけれど、私たちの辞書にそんな言葉は1ミリも載っていなかった。
世界一平和で、世界一甘い、私たちのイチャイチャな日常が、今日も幕を開ける。



