婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】編集中


テラスでお菓子を一人で食べながら、ルリが戻るのを待っている時だった。

「キャー!!ギル様がいらっしゃったわ!」
「なんて今日も素敵なのかしら!」

一階の会場の方から令嬢たちの黄色い声が響き渡り、とある人が会場に現れたのが分かる。

「あ、今日も来たのかなぁ~」

私はむしゃむしゃとお菓子を頬張りながら、テラスの入口側に視線を向ける。


大きな窓がたくさん取り付けられてるこのテラス席からは、通路に出なくても一階の会場がよく見えるのだ。

暇な私はいつもの社交界恒例の彼の様子を、今日も静かにお菓子を片手に観察する。


黄色い声を中心で浴びている人物は、レイヴン公爵家のギル・レイヴンだ。

サラサラの黒髪に綺麗な青色の瞳、スラッとした身長に信じられないぐらいに整った顔を持つ社交的な彼は、人当たりがとても良い。

彼の優しく微笑む甘いマスクでメロメロになった令嬢たちが、今日も飽きることなく彼の周りを囲んでいる。

ギル様が現れる度にこうなるのは、社交界では当たり前の光景で、そんな彼は男女問わず憧れの的なのだ。


まぁ……どんだけ顔が良くても男に興味のない私からしたら、まったく関係のないことだけどねぇ~。