そんな事を思い出していると、ふいに声をかけられる。
「リリィ様、ぼんやりされている所申し訳ないのですが、お菓子をお持ちしましたよ」
気がつくと目の前で大量のお菓子を持ったルリが立っていた。
「あっ、ごめんごめ……わぁぁぁあ!!なんて素敵なお菓子たちなの!!」
さっきまで過去を思い出して嫌な気分になっていた私は、目の前の美味しそうなお菓子たちを見て目がキラキラと輝き出す。
そうそう、この世界のお菓子って、とっても美味しいの!
特におすすめなのは、令嬢たちが上品に食べられるように一口サイズになっている小さなケーキ!小さくても令嬢たちが好みそうな、色とりどりで可愛いらしいデザインが施されたケーキになっている。
お陰様でいろんな味のケーキを食べ放題!最高だよねっ?!
待ちきれなくなった私は、ルリの持つお皿から手掴みで口いっぱいにケーキを頬張っていく。そんな私の様子を見て、ルリが吹き出した。
「くふっ……お、お嬢様、下品にも程がありますよ……ふふっ」
注意をしつつも、笑いを堪えきれないルリは肩を小さく震わせている。
「いいの、いいの〜っ!口いっぱいに入れるとすんごい美味しいんだよ?ルリも食べてよ〜!!」
私は満面の笑みを浮かべて、ルリの口元にケーキを差し出す。
「ふふふっ、私は遠慮しときますね。他にもまだまだ美味しそうなのがあったのでお持ちします。少しは上品にお願いしますよ?」
働き者のルリは、さきほどの笑いで出た涙を指先で拭うと、せっせとお菓子を取りに戻っていってしまった。
こんな平凡なルリとの毎日が、前世でモラハラ男によって縛られていた私にとっては、穏やかで幸せの時間だった。



