婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】


だけれど、私を溺愛するお父様にギル様の言葉は、見事にクリティカルヒット。


とても嬉しそうに笑うお父様が口を開いた。



「公爵様は、うちの娘の可愛いらしさをよくご存知で。リリィこんな光栄な話はないぞ。いいんじゃないか?」



お父様ぁぁぁああぁ!!
なに騙されてるのよぉぉおおぉ!!!



私の心の声はむなしくギル様は私に振り返り、計算通りといわんばかりの綺麗な顔で微笑んでくる。



「……は、はい……よ、喜んで……」



拒否権のない私は、引きっつった顔で笑い、それを見たギル様は意地悪に笑う。



「ありがとう、リリィ嬢。夜会で可愛いらしい君に会えるのをとても楽しみにしているよ」



満足そうに笑うと、私の手を取り手の甲にそっとキスを落とした。



そして、呆然とする私の耳元でこう囁くのだ。



「もし、逃げたらどうなるか……わかっているよな?」




私を悪魔のように脅したあと、さっと完璧な社交界フェイスに戻る。


最後にお父様に綺麗な一礼をすると、サラサラと綺麗な黒髪を靡かせながら去っていったのだった。