ギル様は、そんな私をさらにぎゅっと抱き寄せると追い打ちを掛けるように囁いた。
「せっかく空から降ってきた逃げ回る君を、そう簡単に手放すわけにはいかないだろう?それに君……いや、リリィお前は、前回の件で責任を取って貰わなくてはいけない。なぁ……そうだろう?」
甘く優しい顔をして、怪しく笑う彼の言葉の端には本性をチラつかせるような、拒否をさせない恐ろしい圧がかかっている。
私は一気に前世のトラウマが頭を過ぎった。
こ、この男……怖すぎじゃない?!これが本性?!全然イメージと違うじゃないっ!!
絶対この人モラハラ男だ!間違いないっ!!
そう確信した私は、彼の腕の中で絶対に関わりたくない男だと青い顔をして慌てふためいていると、ギル様の後ろから駆け寄るお父様の声が聞こえてきた。
「おーい!!」
背後から駆け寄ってくるお父様が、神様に見えた。
助かったと思った私はパッと笑顔になると、近づいてきたお父様に直ぐに声を掛ける。
「お、お父様っ!!」
だけれど、なぜだか嬉しそうにしているお父様は私を全然見ていない。
そして、あろうことかお父様はイキイキとした顔で、ギル様に一目散に駆け寄るのだ。
「レイヴン公爵!!なんと素晴らしい身体能力をお持ちで!!うちのお転婆リリィを受け止められるお方は初めて見たよ!!あぁ!本当に、なんて素晴らしいんだっ!!」
神様に見えていたはずのお父様は、ギル様を前にとても興奮していた。
ちょ、ちょっとお父様っ!!そうじゃないでしょうっ!!



