婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】編集中


リリィside


「……え?」

私は今芝生の上ではなく、とてもいい匂いのする逞しい腕に抱き止められている。

この状況が理解できないままそっと顔をあげると──目の前には息を飲むほど美しく整った顔。

黒いサラサラの髪の隙間から覗く、青い瞳が私をじっと見つめていた。

……え?ギル・レイヴン?!


私は目の前に彼がいることが信じられなくて、小さな声が漏れ出る。

「え、な、なんで……」

すると、そんな私に彼はふっと不敵な笑みを浮かべ顔を近づけてくると、耳元で囁く。

「おや、とても元気な病人だね?リリィ嬢」

耳元で響くのは、甘く綺麗な落ち着いた声。


嘘がバレてしまった私は、ビクッと肩を震わせ、一気にこの状況に焦りだす。

やばいやばいやばい……っ!一番会いたくない人に会ってしまった!この黒い笑顔……絶対怒ってるじゃん!!


「あ、あの……ご、ごめんなさい……は、離してもらえ──「嫌だと言ったら?」

私の声を遮り、目の前でニッコリと笑うギル様に驚きを隠せない。

「へっ?!?」

優しい紳士だと聞いていた彼は、やっぱり怒っているのかその返答はあまりにも予想外で、私は目を丸くする。