すると、そんな私の元へ焦りながら走ってきたルリの叫び声が響く。
「リ、リリィ様!!ほんとうになんてことを……って、なんですか!!その格好は?!……あぁぁあ!!ほんとうにっ!!婚約前の令嬢が…………あぁあ……!!」
私のせいだけれど、怒っていたルリはだんだんと顔を青くして、最後は絶望した表情で頭を抱えていた。
そんなルリを励ますために私は、指先でブイサインを作って笑顔を送る。
「子猫ちゃんも私も無事よっ!」
「そういう事ではありません!!」
ルリは怒りながらも、私と子猫を池から引き上げるために手を差し伸べてくれる。ぐっと手を引かれると、私は子猫を落とさないように大事に胸に抱えながら池から脱出した。
「ルリ、ありがとぉ~」
ヘラりと笑ってお礼を言う私に、まだ慌てているルリは早口で指示をしていく。
「本当にあなたって人は!!リリィ様、とりあえずここで少しだけお待ち下さい!急いでタオルとお着替えの準備をしてまいりますっ!」
「はぁーい」
「いいですか、リリィ様!絶対に!そこから動いてはなりませんよ!絶対に!!ですよっ?!」
呑気に返事をする私に、ルリはものすごい血相で忠告をすると慌ててどこかに消えていった。
ルリの後ろ姿を見送り、急に静かになった庭園で暇になった私は子猫を抱きしめながら呑気に池を眺めていると、あることに気がついた。
……あれれ?ギル様どうしたのかな?
私の視線の先で、ピクリとも動かないギル様が未だに池の中に浸かっている姿が目に入る。
不思議に思った私は、ギル様の元へとゆっくりと近づいていく。
ギル様の近くにたどり着くと、なんだかぼんやりとしているようで私は声をかけてみる。
「ギル様!風邪ひいちゃいますよ!」
私の声にゆっくりと顔をあげたギル様に、私は満面の笑みを浮かべて手を差し伸べた。
「はい!お手をどうぞ!」



