「やだ!こっちが先!」
「いーやー!」
「いや……ママをママを探そう……?」
遊具の方へと進んでいった子供達に追いつき、ママの場所を聞いた。
二人は「んー」「あー!あれで遊びたい!」とママより遊具に気を取られてしまい、私の言葉は二人に届かず。そんな幼い子供二人を制止する能力なんて、私は持っていなかった。
それからブランコ、滑り台、砂場にジャングルジム。
2人は各々やりたいことが違うようで「こっちがいい!」「いやだ、こっちであそびたい!」と喧嘩が何度も繰り返される。その度、仲裁に入る私の精神力が削られていく。
「わかった!じゃあ順番にやろう!」
なんとかやりたいものを交互にやることで納得はしてくれた。
これを毎日……子供の面倒をみるって大変なんだな……と心の底から思った。
世の中のお父さんお母さんに頭が上がらない。
子供達と遊具をまわり、遊ぶ。
早く二人をお母さんのところへ連れて行かなくちゃと思うのに、当の本人たちは遊具に夢中で、私の言葉は二人の小さな耳を右から左に通り抜ける。
話を聞いていない……。困った。ここで待っていたら来てくれるかな……。不安だけが募る。
途中までは交互に仲良く遊べていたけれど、ついに妹の方が「いやだぁぁこっちで先に遊ぶのぉ」と泣き出してしまった。
しくしくと泣く小さな女の子。
どうしよう……。と対処が分からず、しゃがんで目線を合わせ「うん、遊びたいね、うん……」と彼女の話を聞いてあげることしかできない。
小さい子に接することがほとんどない私は、どうしたらいいのか全くわからない。
困っていると兄の男の子が妹に向かって話し出す。
「もぉーじゃあ おとこぎじゃんけん できめよ〜」
「おとこぎ……っ」
今なんて?
幼い子が使う言葉にしては、少し変な単語に面白くて笑いそうになり、堪える。
「男気じゃんけん、知ってるの?」
聞くと男の子は得意げに教えてくれる。
「うん!ママがおしえてくれた!こういうときは おとこぎじゃんけん って」
「そっか、いいね」
ニコニコと男の子は嬉しそうだった。
妹へと向き直り、声をかける兄。
「だからもうなくなよ〜」
そう言いながら兄は優しく妹の頭を撫でる。
「うん……」
女の子も落ち着いたようだった。私はホッと胸を撫で下ろす。
「よかった……。」
この子たちのお母さんは二人を探していないだろうか?あれから結構時間が経っている。
警察に連絡したほうがいいのかなと悩んでいると男の子が私の服を掴んで言った。
「ママはいつもたくさんうーんって考えてるけど、だいじょうぶなんだよ」
女の子も続けて言う。
「うん!だいじょうぶ!」
「……?だいじょうぶ?」
この子達は急に何をいっているんだろう……?
「ママがどうし……」
2年生の始業式、私は電車の中で見た夢を思い出す。
時間が経っても鮮明に覚えているあの夢。
あの時、夢で見た子供達と、この兄妹はとてもよく似ている。
でも、あれは夢で。
今ここにいるこの子達は……現実……で。
兄弟はニコニコと笑い合い、妹が私の手に触れる。
「あげる!」
そう言いながら女の子は私の掌に小さな青い花を置いた。
視界がぼやけ、違和感を覚えて目をこする。子供達の気配が遠くなるような感覚に焦った。
「ママ、またね!」
「またね!」
幼い二人の声が風に溶けていく——
——……
風が優しく私の頬を撫で、くすぐるような感触に、私は目を開ける。
私は公園のベンチに座っていた。
掌には青い小さな花を握って。
「いーやー!」
「いや……ママをママを探そう……?」
遊具の方へと進んでいった子供達に追いつき、ママの場所を聞いた。
二人は「んー」「あー!あれで遊びたい!」とママより遊具に気を取られてしまい、私の言葉は二人に届かず。そんな幼い子供二人を制止する能力なんて、私は持っていなかった。
それからブランコ、滑り台、砂場にジャングルジム。
2人は各々やりたいことが違うようで「こっちがいい!」「いやだ、こっちであそびたい!」と喧嘩が何度も繰り返される。その度、仲裁に入る私の精神力が削られていく。
「わかった!じゃあ順番にやろう!」
なんとかやりたいものを交互にやることで納得はしてくれた。
これを毎日……子供の面倒をみるって大変なんだな……と心の底から思った。
世の中のお父さんお母さんに頭が上がらない。
子供達と遊具をまわり、遊ぶ。
早く二人をお母さんのところへ連れて行かなくちゃと思うのに、当の本人たちは遊具に夢中で、私の言葉は二人の小さな耳を右から左に通り抜ける。
話を聞いていない……。困った。ここで待っていたら来てくれるかな……。不安だけが募る。
途中までは交互に仲良く遊べていたけれど、ついに妹の方が「いやだぁぁこっちで先に遊ぶのぉ」と泣き出してしまった。
しくしくと泣く小さな女の子。
どうしよう……。と対処が分からず、しゃがんで目線を合わせ「うん、遊びたいね、うん……」と彼女の話を聞いてあげることしかできない。
小さい子に接することがほとんどない私は、どうしたらいいのか全くわからない。
困っていると兄の男の子が妹に向かって話し出す。
「もぉーじゃあ おとこぎじゃんけん できめよ〜」
「おとこぎ……っ」
今なんて?
幼い子が使う言葉にしては、少し変な単語に面白くて笑いそうになり、堪える。
「男気じゃんけん、知ってるの?」
聞くと男の子は得意げに教えてくれる。
「うん!ママがおしえてくれた!こういうときは おとこぎじゃんけん って」
「そっか、いいね」
ニコニコと男の子は嬉しそうだった。
妹へと向き直り、声をかける兄。
「だからもうなくなよ〜」
そう言いながら兄は優しく妹の頭を撫でる。
「うん……」
女の子も落ち着いたようだった。私はホッと胸を撫で下ろす。
「よかった……。」
この子たちのお母さんは二人を探していないだろうか?あれから結構時間が経っている。
警察に連絡したほうがいいのかなと悩んでいると男の子が私の服を掴んで言った。
「ママはいつもたくさんうーんって考えてるけど、だいじょうぶなんだよ」
女の子も続けて言う。
「うん!だいじょうぶ!」
「……?だいじょうぶ?」
この子達は急に何をいっているんだろう……?
「ママがどうし……」
2年生の始業式、私は電車の中で見た夢を思い出す。
時間が経っても鮮明に覚えているあの夢。
あの時、夢で見た子供達と、この兄妹はとてもよく似ている。
でも、あれは夢で。
今ここにいるこの子達は……現実……で。
兄弟はニコニコと笑い合い、妹が私の手に触れる。
「あげる!」
そう言いながら女の子は私の掌に小さな青い花を置いた。
視界がぼやけ、違和感を覚えて目をこする。子供達の気配が遠くなるような感覚に焦った。
「ママ、またね!」
「またね!」
幼い二人の声が風に溶けていく——
——……
風が優しく私の頬を撫で、くすぐるような感触に、私は目を開ける。
私は公園のベンチに座っていた。
掌には青い小さな花を握って。


