約束の土曜日。
葵と由乃に選んでもらった服を着る。いつもなら着ることのないスタイルにちょっと落ち着かない。
いつもは簡単に済ますメイクも、動画を見ながらできる限り丁寧に仕上げた。
最後は温めていたヘアアイロンで練習した通りに巻いて……。
アレンジしてみたけど上手くいかず、そのまま髪を下ろして行くことにした。
ポーチからリップを出し、洗面所で仕上げていると、起きたばかりの大和の足音がこちらに向かってきてるのがわかった。
「うぁあ!?ねーちゃん!?えっ、ねーちゃん?」
「何回呼ぶの。……なんか変?」
「いや……え、なに、デート?」
「っ遊びに誘われたから出かけるだけで……」
「デートじゃん。どっち?無愛想な方?したたかそうな方?」
「何そのイメージ……どっちでもいいでしょ」
大和を無視して支度を進める。
文化祭で朔と千雅が私を庇ってくれたあの日以降、大和は「ねーちゃんにもやっと春が来たか」と失礼なことばかり言っていた。
今も探りを入れられているのが分かる。
「はっはーん?どっちでもいいってことは、そのどっちかなんだ?」
ニヤニヤと口角を上げて笑う大和に腹が立つ。
「うるさいなー!茶化すな!」
「ここで茶化さず、いつ茶化すんだよ!」
この弟っ……。
姉を何だと思っているのか。
大和のことは完全に無視することを決め、自分の支度に戻る。
が、大和はからかい足りないのか後ろから付いてきた。
「その服にそのメイク、めっちゃ気合い入ってんじゃーん??」
図星だった。言われて少しカッとなる。
「はっ!?友達に選んでもらったから着てるだけで!別に変な意味はないから!」
私だってパンツスタイルやタイトスカートのがいいんじゃないかって葵達に言った。
けど「折角なんだから持ってないものを買ったらいいじゃん」と却下されてしまった。
休日なのに制服のスカートを履いてるみたいで落ち着かない。
……それよりずっと短いけど。
「ふーん?まぁいいけど。俺、着替えたらちょっと出るから」
そう言って、大和は着替え終わるとさっさと出かけてしまった。
うるさく茶化されることが無くなり、一安心する。
バッグの中の荷物を確認して、家を出るため玄関に向かい、ブーツを履いた。
出る予定の30分前に準備が完了。
よかった。朔より早く着ける。
扉を閉めて……。
……。
「あれ?」
家の鍵がいつもの場所にない。
「なんで!?いつもここに……」
大丈夫、落ち着け。
まだ時間はある。上着のポケットに入れたままか学校の鞄。
あ!もしかしたらリビングの机……。
こういう時に限って探しても探しても見つからず、時間も迫ってきて余計に焦る。
——……
40分後。
なぜかクローゼットの中から鍵が見つかった。
いつ落としたのかすらわからない。
そんなことはもうどうでも良かった。
とにかく今は電車。
急いでブーツを履き、家の鍵を閉めて駅へと走る。
次の電車まであと8分、それに乗らなければ遅刻。
私は一生懸命走った。
葵と由乃に選んでもらった服を着る。いつもなら着ることのないスタイルにちょっと落ち着かない。
いつもは簡単に済ますメイクも、動画を見ながらできる限り丁寧に仕上げた。
最後は温めていたヘアアイロンで練習した通りに巻いて……。
アレンジしてみたけど上手くいかず、そのまま髪を下ろして行くことにした。
ポーチからリップを出し、洗面所で仕上げていると、起きたばかりの大和の足音がこちらに向かってきてるのがわかった。
「うぁあ!?ねーちゃん!?えっ、ねーちゃん?」
「何回呼ぶの。……なんか変?」
「いや……え、なに、デート?」
「っ遊びに誘われたから出かけるだけで……」
「デートじゃん。どっち?無愛想な方?したたかそうな方?」
「何そのイメージ……どっちでもいいでしょ」
大和を無視して支度を進める。
文化祭で朔と千雅が私を庇ってくれたあの日以降、大和は「ねーちゃんにもやっと春が来たか」と失礼なことばかり言っていた。
今も探りを入れられているのが分かる。
「はっはーん?どっちでもいいってことは、そのどっちかなんだ?」
ニヤニヤと口角を上げて笑う大和に腹が立つ。
「うるさいなー!茶化すな!」
「ここで茶化さず、いつ茶化すんだよ!」
この弟っ……。
姉を何だと思っているのか。
大和のことは完全に無視することを決め、自分の支度に戻る。
が、大和はからかい足りないのか後ろから付いてきた。
「その服にそのメイク、めっちゃ気合い入ってんじゃーん??」
図星だった。言われて少しカッとなる。
「はっ!?友達に選んでもらったから着てるだけで!別に変な意味はないから!」
私だってパンツスタイルやタイトスカートのがいいんじゃないかって葵達に言った。
けど「折角なんだから持ってないものを買ったらいいじゃん」と却下されてしまった。
休日なのに制服のスカートを履いてるみたいで落ち着かない。
……それよりずっと短いけど。
「ふーん?まぁいいけど。俺、着替えたらちょっと出るから」
そう言って、大和は着替え終わるとさっさと出かけてしまった。
うるさく茶化されることが無くなり、一安心する。
バッグの中の荷物を確認して、家を出るため玄関に向かい、ブーツを履いた。
出る予定の30分前に準備が完了。
よかった。朔より早く着ける。
扉を閉めて……。
……。
「あれ?」
家の鍵がいつもの場所にない。
「なんで!?いつもここに……」
大丈夫、落ち着け。
まだ時間はある。上着のポケットに入れたままか学校の鞄。
あ!もしかしたらリビングの机……。
こういう時に限って探しても探しても見つからず、時間も迫ってきて余計に焦る。
——……
40分後。
なぜかクローゼットの中から鍵が見つかった。
いつ落としたのかすらわからない。
そんなことはもうどうでも良かった。
とにかく今は電車。
急いでブーツを履き、家の鍵を閉めて駅へと走る。
次の電車まであと8分、それに乗らなければ遅刻。
私は一生懸命走った。


