真由香ちゃんに教えてもらった校舎内を探し回る。
私たちが出し物をやっている校舎とは反対にあり、展示物が多い棟だった。
「朔〜?」
校舎内には人すら見当たら無いので声を出して探してみる。
この階にもいないようだった。
その後も2階3階と探してみるが見つからない。
もう移動してしまったのかもしれない。
「メッセージにも返信ないし」
階段を登り、最上階の4階にたどり着く。
スマホの連絡帳【佐伯 朔】の電話番号を見つめ考える。……かけて、みる?
悩んだ末、4階の教室の窓から外を覗き、上から人混みの中を見つめ探しながら思い切って朔に電話。
初めて電話をかけた。
コールがスマホのスピーカーから小さく流れ、なぜか緊張する。
1回、2回、3回……これは出ないかと切ろうと耳から話すとコールが止まった。
「遥?」
スピーカーから聞こえる聞き慣れた声。
電話ってだけで少し言葉が詰まる。
いつもと同じはずなのに少し違う気がして。
スマホを持つ手に力が入る。
「あ、朔!い、今どこにいる?朔が私を探してるって真由香ちゃんに聞いたから、美術棟の方にいるって言われて今探してたんだけど」
「俺、ずっとクラス棟の方にいるぞ」
「……え?」
まさかの真反対の場所。お互いに全然違う場所を探していた。
どおりで人もいないし、見つからないはずだった。
真由香ちゃんがわざと反対を教えるわけないので、勘違いしたのかもしれない。
「そっか!じゃあ私がそっちに」
「俺が行く。何階?」
「えっと、4階の美術室に」
「わかった」
言い終わる前に電話が切れた。
こっちにきても何もないから、朔の方に行こうと思ったんだけど。
私は美術室に展示された作品を眺めながら朔を待つ。
10分くらい経った頃、美術室に足音が近づいてきた。
「待たせた……っ」
走ったのか、息が上がっている。
「ゆっくりでよかったのに!階段もあるから結構大変だよねここ」
「割と遠いな……」
「わかる」
私もここに登ってくるのに結構な体力を消費した。
呼吸を整えた朔が私の隣に立つ。
「美術部の作品なんて初めて見たけど、結構面白いよ」
「そうか」
朔はそれ以上話さない。
「朔、真由香ちゃんと喧嘩したの?」
「……」
「真由香ちゃん、目真っ赤に腫れてたよ」
「……そうか」
「朔が喧嘩することもあるんだね?」
「譲れないこと、だったからな」
朔がここまではっきりいうのは見たことがない。
私はそれ以上聞くのをやめた。
「それは仕方ないね!」
美術部の作品は個性に溢れていて見ていて飽きない。
ゆっくりと歩きながら一つ一つ鑑賞する。
「よし。そろそろ行こっか!」
作品を見るのも程々に、そろそろ動こうとつま先を扉へ向ける。
朔は作品を見つめたまま、私に聞いた。
「千雅はどうした?」
「約束があったみたいだから解散したよ。終わったらまた合流する予定」
「そうか。……。」
少し間のある空気に違和感を覚える。
「……?そろそろ向かおうか」
教室を出ようと体を前に進めると朔に手を掴まれる。
朔から引き止められることなんか初めてで、驚いて声が漏れる。
「えっ……」
朔の真剣な眼差しが私を見つめて、離さない。
「来週の土曜日、出かけないか?」
「空いてるけど……みんなで?」
朔の見たことない表情、行動。
時が止まったと感じてしまいそうなくらい、自分の鼓動が大きく聞こえる。
「……二人で。」
思いがけない誘いに戸惑う。
この鼓動は変化に対する不安?それとも——
答えは私にはわからない。
文化祭は幕を閉じた。
私たちが出し物をやっている校舎とは反対にあり、展示物が多い棟だった。
「朔〜?」
校舎内には人すら見当たら無いので声を出して探してみる。
この階にもいないようだった。
その後も2階3階と探してみるが見つからない。
もう移動してしまったのかもしれない。
「メッセージにも返信ないし」
階段を登り、最上階の4階にたどり着く。
スマホの連絡帳【佐伯 朔】の電話番号を見つめ考える。……かけて、みる?
悩んだ末、4階の教室の窓から外を覗き、上から人混みの中を見つめ探しながら思い切って朔に電話。
初めて電話をかけた。
コールがスマホのスピーカーから小さく流れ、なぜか緊張する。
1回、2回、3回……これは出ないかと切ろうと耳から話すとコールが止まった。
「遥?」
スピーカーから聞こえる聞き慣れた声。
電話ってだけで少し言葉が詰まる。
いつもと同じはずなのに少し違う気がして。
スマホを持つ手に力が入る。
「あ、朔!い、今どこにいる?朔が私を探してるって真由香ちゃんに聞いたから、美術棟の方にいるって言われて今探してたんだけど」
「俺、ずっとクラス棟の方にいるぞ」
「……え?」
まさかの真反対の場所。お互いに全然違う場所を探していた。
どおりで人もいないし、見つからないはずだった。
真由香ちゃんがわざと反対を教えるわけないので、勘違いしたのかもしれない。
「そっか!じゃあ私がそっちに」
「俺が行く。何階?」
「えっと、4階の美術室に」
「わかった」
言い終わる前に電話が切れた。
こっちにきても何もないから、朔の方に行こうと思ったんだけど。
私は美術室に展示された作品を眺めながら朔を待つ。
10分くらい経った頃、美術室に足音が近づいてきた。
「待たせた……っ」
走ったのか、息が上がっている。
「ゆっくりでよかったのに!階段もあるから結構大変だよねここ」
「割と遠いな……」
「わかる」
私もここに登ってくるのに結構な体力を消費した。
呼吸を整えた朔が私の隣に立つ。
「美術部の作品なんて初めて見たけど、結構面白いよ」
「そうか」
朔はそれ以上話さない。
「朔、真由香ちゃんと喧嘩したの?」
「……」
「真由香ちゃん、目真っ赤に腫れてたよ」
「……そうか」
「朔が喧嘩することもあるんだね?」
「譲れないこと、だったからな」
朔がここまではっきりいうのは見たことがない。
私はそれ以上聞くのをやめた。
「それは仕方ないね!」
美術部の作品は個性に溢れていて見ていて飽きない。
ゆっくりと歩きながら一つ一つ鑑賞する。
「よし。そろそろ行こっか!」
作品を見るのも程々に、そろそろ動こうとつま先を扉へ向ける。
朔は作品を見つめたまま、私に聞いた。
「千雅はどうした?」
「約束があったみたいだから解散したよ。終わったらまた合流する予定」
「そうか。……。」
少し間のある空気に違和感を覚える。
「……?そろそろ向かおうか」
教室を出ようと体を前に進めると朔に手を掴まれる。
朔から引き止められることなんか初めてで、驚いて声が漏れる。
「えっ……」
朔の真剣な眼差しが私を見つめて、離さない。
「来週の土曜日、出かけないか?」
「空いてるけど……みんなで?」
朔の見たことない表情、行動。
時が止まったと感じてしまいそうなくらい、自分の鼓動が大きく聞こえる。
「……二人で。」
思いがけない誘いに戸惑う。
この鼓動は変化に対する不安?それとも——
答えは私にはわからない。
文化祭は幕を閉じた。


