放課後の教室、2年進学科は文化祭の準備に追われていた。
私達のクラスはたません。それと少しだけ飲み物も販売予定。
教室の飾り付けをみんなでコツコツと制作する。
テーマはお祭り屋台。提灯やイルミネーションを担当に分かれて作る。
「朔くん、あそこにこれ貼ってくれる?」
「あぁ。」
高身長の朔は飾り付け班に引っ張りだこで、あちらこちらで呼ばれていた。
今まで話しかけづらそうにしていた女子たちも、これを機にとガンガン話しかけに言っているような……気がする。
拓真も同じくらい身長高いから声をかけられてもおかしくないのに。
千雅も身長は高めなので朔と同様に女子たちに呼ばれているが、元々愛想もいいので大していつもと変わらない。
どちらかというとサッカー部の男子たちに文化祭当日、客寄せとして少しでいいから来て欲しいと懇願されている方のが大変そうだ。
「いや、文化祭当日はちょっと……」
「頼むーーーー!少しだけでいいから……!」
「えー……」
がんばれ、千雅。
私は心の中で拳を作り応援した。
そんな私と由乃と葵、拓真は4人で入り口の暖簾を作っている。
100円ショップで買ってきた無地の暖簾に四人で字を書き込む。
「た ま せ ん 下書きはこんな感じ?」
「あおちゃん上手〜!」
「葵ちゃん、意外と字が綺麗なんだね」
「拓真、今なんて言った?」
余計なことを言った拓真が、葵に詰め寄られているが気にしない。
暖簾に書かれた字を意味もなく見つめる。
「はるちゃん。なんか最近ぼーっとしてること多いけど大丈夫ぅ?」
「え、私そんなにぼーっとしてる?」
「うん。千雅ちゃんともなんか変な感じぃ」
由乃は人のことをよく見ているんだなと感心する。
由乃と拓真はどうやって付き合ったんだろう?
「由乃はどうやって拓真と付き合ったの?」
「え!なになにぃ?はるちゃん好きな人でもできたの?!」
由乃は目を輝かせて生き生きと食いついてくる。
しまった。聞く相手を間違えた。
「違う!ただ好きとか、そういう恋愛的な気持ちというか感情というか……それがわからなくて。だから参考に聞きたくて」
「ふぅーん?」
「その顔やめて 」
何か要らぬことを由乃が考えている気がするが、気付いていないふりをする。
絶対頭の中で何か想像してるなこの顔。
「たくちゃんとはねぇ、幼馴染だったから。いるのが当たり前だったというか。だから好きだったけど、それが恋愛としての好きって最初は分からなかったの」
「由乃でも分からないとかあったんだ?」
「あるよぉ〜初めてはみんな分からないんじゃないかなぁ?だけど、当時同じクラスだった女の子がたくちゃんのことを好きだってクラスのみんなの前で告白したの!」
「え、メンタル強」
「すごいよねぇ?当時小学6年生だったんだけど、私、凄く嫌だったんだよねぇ。」
「それで拓真はどうしたの?」
「優しく、断ってたよ。好きな人がいるんだって。その言葉により一層私は悶々しちゃってねぇ。耐えられなくなって『好きな人って誰なの?私はたくちゃんのことが好きなのに』ってその日の帰り道に言っちゃった」
「おぉ……それで?」
「たくちゃんびっくりしてたけど、とっても嬉しそうに「俺も由乃が好き」って言ってくれたのぉ」
拓真との思い出を嬉しそうに、愛おしそうに話す由乃。
その姿はキラキラして見えた。
私も恋したらこんなふうになるのかな。
「友達としてじゃなくて、恋愛的に好きを気付いた時ってどんな気持ちなの?」
「え〜うーん。一緒にいて楽しいのは当たり前だけど、それ以上にこー胸がドキドキとかキュンってする感じかなぁ。あと私はたくちゃんが使ってるものとかにも愛おしさを感じたりする〜」
わかるような、分からないような……いやわからない。だめだ。難解過ぎる。
暖簾に下書きされた字をペンでなぞりながら考え込む。
「でも、付き合ってうまくいかなかったらって思うと怖くないの?」
視線は下を向いたまま、暖簾の下書きをペンでなぞっていく。
「そういう好きって感情も、自然と気づくものなのかな……」
手の横に少しインクが付いていたのか、書いた線が伸びてしまった。
「あ、ごめん!」
すぐに直そうとするが慌ててしまいうまくいかない。
隣にいた由乃がそっとカラーペンで滲んだところをなぞり、隠す。
「感情は、自然には気付かないのかもねぇ。でも、好きな人が離れてしまうかもしれないって感じた時にやっと気付く……ことが多いのかな。もう一つの質問に答えるのは難しいなぁ」
私は千雅と私じゃない女の子がいたらどう思うんだろう。
…………もし、朔と私じゃない誰かが——
胸の奥が少し、チクっとする。
「……恋愛って難しいね」
「そうかもねぇ。めんどくさいこともあるし、喧嘩もする。楽しいだけではないけど。でも、幸せだよぉ」
そう話す由乃は何よりも、誰よりも幸せに見えた。
恋愛なんてしなくていいって思ってた。
今だって別に必要とは……思ってない。
思ってない、はず。
私達のクラスはたません。それと少しだけ飲み物も販売予定。
教室の飾り付けをみんなでコツコツと制作する。
テーマはお祭り屋台。提灯やイルミネーションを担当に分かれて作る。
「朔くん、あそこにこれ貼ってくれる?」
「あぁ。」
高身長の朔は飾り付け班に引っ張りだこで、あちらこちらで呼ばれていた。
今まで話しかけづらそうにしていた女子たちも、これを機にとガンガン話しかけに言っているような……気がする。
拓真も同じくらい身長高いから声をかけられてもおかしくないのに。
千雅も身長は高めなので朔と同様に女子たちに呼ばれているが、元々愛想もいいので大していつもと変わらない。
どちらかというとサッカー部の男子たちに文化祭当日、客寄せとして少しでいいから来て欲しいと懇願されている方のが大変そうだ。
「いや、文化祭当日はちょっと……」
「頼むーーーー!少しだけでいいから……!」
「えー……」
がんばれ、千雅。
私は心の中で拳を作り応援した。
そんな私と由乃と葵、拓真は4人で入り口の暖簾を作っている。
100円ショップで買ってきた無地の暖簾に四人で字を書き込む。
「た ま せ ん 下書きはこんな感じ?」
「あおちゃん上手〜!」
「葵ちゃん、意外と字が綺麗なんだね」
「拓真、今なんて言った?」
余計なことを言った拓真が、葵に詰め寄られているが気にしない。
暖簾に書かれた字を意味もなく見つめる。
「はるちゃん。なんか最近ぼーっとしてること多いけど大丈夫ぅ?」
「え、私そんなにぼーっとしてる?」
「うん。千雅ちゃんともなんか変な感じぃ」
由乃は人のことをよく見ているんだなと感心する。
由乃と拓真はどうやって付き合ったんだろう?
「由乃はどうやって拓真と付き合ったの?」
「え!なになにぃ?はるちゃん好きな人でもできたの?!」
由乃は目を輝かせて生き生きと食いついてくる。
しまった。聞く相手を間違えた。
「違う!ただ好きとか、そういう恋愛的な気持ちというか感情というか……それがわからなくて。だから参考に聞きたくて」
「ふぅーん?」
「その顔やめて 」
何か要らぬことを由乃が考えている気がするが、気付いていないふりをする。
絶対頭の中で何か想像してるなこの顔。
「たくちゃんとはねぇ、幼馴染だったから。いるのが当たり前だったというか。だから好きだったけど、それが恋愛としての好きって最初は分からなかったの」
「由乃でも分からないとかあったんだ?」
「あるよぉ〜初めてはみんな分からないんじゃないかなぁ?だけど、当時同じクラスだった女の子がたくちゃんのことを好きだってクラスのみんなの前で告白したの!」
「え、メンタル強」
「すごいよねぇ?当時小学6年生だったんだけど、私、凄く嫌だったんだよねぇ。」
「それで拓真はどうしたの?」
「優しく、断ってたよ。好きな人がいるんだって。その言葉により一層私は悶々しちゃってねぇ。耐えられなくなって『好きな人って誰なの?私はたくちゃんのことが好きなのに』ってその日の帰り道に言っちゃった」
「おぉ……それで?」
「たくちゃんびっくりしてたけど、とっても嬉しそうに「俺も由乃が好き」って言ってくれたのぉ」
拓真との思い出を嬉しそうに、愛おしそうに話す由乃。
その姿はキラキラして見えた。
私も恋したらこんなふうになるのかな。
「友達としてじゃなくて、恋愛的に好きを気付いた時ってどんな気持ちなの?」
「え〜うーん。一緒にいて楽しいのは当たり前だけど、それ以上にこー胸がドキドキとかキュンってする感じかなぁ。あと私はたくちゃんが使ってるものとかにも愛おしさを感じたりする〜」
わかるような、分からないような……いやわからない。だめだ。難解過ぎる。
暖簾に下書きされた字をペンでなぞりながら考え込む。
「でも、付き合ってうまくいかなかったらって思うと怖くないの?」
視線は下を向いたまま、暖簾の下書きをペンでなぞっていく。
「そういう好きって感情も、自然と気づくものなのかな……」
手の横に少しインクが付いていたのか、書いた線が伸びてしまった。
「あ、ごめん!」
すぐに直そうとするが慌ててしまいうまくいかない。
隣にいた由乃がそっとカラーペンで滲んだところをなぞり、隠す。
「感情は、自然には気付かないのかもねぇ。でも、好きな人が離れてしまうかもしれないって感じた時にやっと気付く……ことが多いのかな。もう一つの質問に答えるのは難しいなぁ」
私は千雅と私じゃない女の子がいたらどう思うんだろう。
…………もし、朔と私じゃない誰かが——
胸の奥が少し、チクっとする。
「……恋愛って難しいね」
「そうかもねぇ。めんどくさいこともあるし、喧嘩もする。楽しいだけではないけど。でも、幸せだよぉ」
そう話す由乃は何よりも、誰よりも幸せに見えた。
恋愛なんてしなくていいって思ってた。
今だって別に必要とは……思ってない。
思ってない、はず。


