お昼休み。
再会を祝って、千雅も含めてみんなでお昼ご飯を食べることになった。
拓真・由乃・葵・朔も中庭に食事を持って集まる。
中庭の人工芝は生徒たちの憩いの場として人気で、お昼休みになるとピクニックエリアのようだった。
私達は適当に空いている場所に座り込む。
「朔、今日はパン買えた?」
「ん。間に合った」
「よかったね!でもまた足りなかったらおかず口に突っ込んであげるよ」
私は半分笑いつつ、朔に提案してみる。
「そりゃどうも。」
朔はまんざらでもないようだった。
私がお弁当を膝の上に広げていると、千雅がこっちを見ていることに気付いた。
「それにしても、千雅とまた会えるなんてびっくりだよー」
「僕も遥にまた会えるなんて。なんだか赤い糸の運命みたいだね」
「ゴッホッゴホッ」
衝撃でご飯が喉に詰まった。
「遥?!大丈夫?」
千雅はペットボトルのお茶を開けて渡してくれる。
……昔から恥ずかしいような言葉も照れることなく言って来るタイプだったけど、成長したこの感じで言われると、前とは比にならない小っ恥ずかしさが込み上げてくる。
拓真と由乃、葵まですごいやつが来たって顔してる。
「……」
朔は視線を逸らしたまま、無言でパンを齧っていた。
わ、話題を変えよう。
「みんなに説明してなかったよね!千雅は小学から中学一年まで一緒の学校でいつも一緒にいた幼馴染みたいな感じで」
千雅は幼馴染で、離れ離れになるまではいつも一緒にいた。
辛い時は、一番に話を聞いてくれた。
「一年の時に遥が転校しちゃってから会えてなかったよね。お互いにまだスマホとか持ってなかったし」
「だけどまさか高校で会うなんて。本当にびっくりしたよ」
「うん。うんめ……」
私は慌てて千雅の口を塞ぐ。
「それ、恥ずかしいからもうやめて……」
千雅は塞がれた口から手を外すために私の手に触れて、嬉しそうに手を握ったまま微笑んでいる。
「わかった、もう言わないよ」
わかってくれてよかった。千雅の王子様みたいな発言、小さい頃は気にならなかったけど今はもう恥ずかしさに耐えられない。
それに、千雅の距離感が昔と何か違うような。
「わかってくれたならよかっ」
「だから僕とデートしようよ」
「たっ!?」
全然わかってなかった。
やっぱり昔と変わらない。千雅は昔からこうだった……。
由乃と拓真は驚きを隠せぬまま、葵は口が開いたまま閉まらない。
朔は……呆然と目を開いたままその場で固まっていた。
千雅はまたややこしい言い方を……。
「……遊ぼうってことだよね?」
「うん」
「みんなが勘違いするからややこしい言い方やめて」
千雅の言動に私は頭を抱える。
『『『どういうこと?』』』
由乃・拓真・葵の顔には意味がわからないと書いてあるのが見える。
朔は何も言わないが、みんなと同じようだった。
「千雅、昔から遊びに誘って来る時にデートしよって言ってくるの。だからそういう恋愛的な深い意味はないよ」
ね、千雅?と同意を求めると千雅ニコニコと微笑んでいた。
笑えば何でも許してもらえると思ってるな……。
「千雅。もう高校生なんだし、他の女の子にそんな言い方したら勘違いされるから」
「遥にしかしないよ」
千雅の言葉に少し違和感を覚える。
「ん……?うん……。」
「遥」
急に、朔は思い出したのか口を開く。
「昼休みの間にノートを取りに職員室来てくれって望月先生が言ってたぞ」
「え?ほんと?ちょっと今から取りにだけ行ってくる!みんなは食べてて!」
私は急いで職員室へと、ノートを取りに走った。
――――――――――――――――――――
遥が去った後の空気は、ピリピリしていた。
朔は黙々と食事を続け、千雅のさっきまでの穏やかな雰囲気はどこかへ消え、薄らと朔のことを睨んでいた。
いたたまれない空気の悪さに、由乃・拓真・葵の三人はコソコソと内緒話を始める。
「……ね、由乃、拓真。絶対あれ、わざとデートって言って誘ってたよね……?」
「うん。そうだと思うけどぉ……」
「はるちゃんは気付いてないというか、冗談だと思ってるねぇ……」
「千雅、小学生の時から中一まで気付かれずに来てんの可哀想すぎるでしょ」
「ちかちゃん可哀想ぅ……」
「まぁでも、さっきのデートの誘いは挑発も込めて言ってたな……」
拓真は確信を持っていた。
「誰に?」
「朔。遥と仲良さそうにしてるのを見て牽制したんだろうな」
「すごいねぇ。ちゃんと主張していくタイプだねぇ」
「ちょっと面白くなってきたよな」
「あんた達、本当いい性格してるわ……」
ワクワクと楽しそうな由乃と拓真に、葵は呆れ顔だ。
「でもここまで強いと朔くん負けちゃうかもねぇ」
「さっき千雅からはるちゃんを遠ざける為に話を遮った気もするけど。でも無自覚っぽいからなー、それはそれで仕方ないかな」
「うちから見たら、遥が一番大変そうな気するけどね」
「「だろうねー」」
由乃と拓真の声が重なる。
「まぁでも……なんて言うか青春って感じだね」
「わかるー」
「はるちゃんモテモテだねぇ〜」
「あーうちも青春したーい」
遥が戻ってくるまで後、数分。
秘める感情に無自覚な朔と、自分の感情に素直な千雅の闘いをドラマ感覚で楽しむ、この三人の会話が遥に届く事はない。
再会を祝って、千雅も含めてみんなでお昼ご飯を食べることになった。
拓真・由乃・葵・朔も中庭に食事を持って集まる。
中庭の人工芝は生徒たちの憩いの場として人気で、お昼休みになるとピクニックエリアのようだった。
私達は適当に空いている場所に座り込む。
「朔、今日はパン買えた?」
「ん。間に合った」
「よかったね!でもまた足りなかったらおかず口に突っ込んであげるよ」
私は半分笑いつつ、朔に提案してみる。
「そりゃどうも。」
朔はまんざらでもないようだった。
私がお弁当を膝の上に広げていると、千雅がこっちを見ていることに気付いた。
「それにしても、千雅とまた会えるなんてびっくりだよー」
「僕も遥にまた会えるなんて。なんだか赤い糸の運命みたいだね」
「ゴッホッゴホッ」
衝撃でご飯が喉に詰まった。
「遥?!大丈夫?」
千雅はペットボトルのお茶を開けて渡してくれる。
……昔から恥ずかしいような言葉も照れることなく言って来るタイプだったけど、成長したこの感じで言われると、前とは比にならない小っ恥ずかしさが込み上げてくる。
拓真と由乃、葵まですごいやつが来たって顔してる。
「……」
朔は視線を逸らしたまま、無言でパンを齧っていた。
わ、話題を変えよう。
「みんなに説明してなかったよね!千雅は小学から中学一年まで一緒の学校でいつも一緒にいた幼馴染みたいな感じで」
千雅は幼馴染で、離れ離れになるまではいつも一緒にいた。
辛い時は、一番に話を聞いてくれた。
「一年の時に遥が転校しちゃってから会えてなかったよね。お互いにまだスマホとか持ってなかったし」
「だけどまさか高校で会うなんて。本当にびっくりしたよ」
「うん。うんめ……」
私は慌てて千雅の口を塞ぐ。
「それ、恥ずかしいからもうやめて……」
千雅は塞がれた口から手を外すために私の手に触れて、嬉しそうに手を握ったまま微笑んでいる。
「わかった、もう言わないよ」
わかってくれてよかった。千雅の王子様みたいな発言、小さい頃は気にならなかったけど今はもう恥ずかしさに耐えられない。
それに、千雅の距離感が昔と何か違うような。
「わかってくれたならよかっ」
「だから僕とデートしようよ」
「たっ!?」
全然わかってなかった。
やっぱり昔と変わらない。千雅は昔からこうだった……。
由乃と拓真は驚きを隠せぬまま、葵は口が開いたまま閉まらない。
朔は……呆然と目を開いたままその場で固まっていた。
千雅はまたややこしい言い方を……。
「……遊ぼうってことだよね?」
「うん」
「みんなが勘違いするからややこしい言い方やめて」
千雅の言動に私は頭を抱える。
『『『どういうこと?』』』
由乃・拓真・葵の顔には意味がわからないと書いてあるのが見える。
朔は何も言わないが、みんなと同じようだった。
「千雅、昔から遊びに誘って来る時にデートしよって言ってくるの。だからそういう恋愛的な深い意味はないよ」
ね、千雅?と同意を求めると千雅ニコニコと微笑んでいた。
笑えば何でも許してもらえると思ってるな……。
「千雅。もう高校生なんだし、他の女の子にそんな言い方したら勘違いされるから」
「遥にしかしないよ」
千雅の言葉に少し違和感を覚える。
「ん……?うん……。」
「遥」
急に、朔は思い出したのか口を開く。
「昼休みの間にノートを取りに職員室来てくれって望月先生が言ってたぞ」
「え?ほんと?ちょっと今から取りにだけ行ってくる!みんなは食べてて!」
私は急いで職員室へと、ノートを取りに走った。
――――――――――――――――――――
遥が去った後の空気は、ピリピリしていた。
朔は黙々と食事を続け、千雅のさっきまでの穏やかな雰囲気はどこかへ消え、薄らと朔のことを睨んでいた。
いたたまれない空気の悪さに、由乃・拓真・葵の三人はコソコソと内緒話を始める。
「……ね、由乃、拓真。絶対あれ、わざとデートって言って誘ってたよね……?」
「うん。そうだと思うけどぉ……」
「はるちゃんは気付いてないというか、冗談だと思ってるねぇ……」
「千雅、小学生の時から中一まで気付かれずに来てんの可哀想すぎるでしょ」
「ちかちゃん可哀想ぅ……」
「まぁでも、さっきのデートの誘いは挑発も込めて言ってたな……」
拓真は確信を持っていた。
「誰に?」
「朔。遥と仲良さそうにしてるのを見て牽制したんだろうな」
「すごいねぇ。ちゃんと主張していくタイプだねぇ」
「ちょっと面白くなってきたよな」
「あんた達、本当いい性格してるわ……」
ワクワクと楽しそうな由乃と拓真に、葵は呆れ顔だ。
「でもここまで強いと朔くん負けちゃうかもねぇ」
「さっき千雅からはるちゃんを遠ざける為に話を遮った気もするけど。でも無自覚っぽいからなー、それはそれで仕方ないかな」
「うちから見たら、遥が一番大変そうな気するけどね」
「「だろうねー」」
由乃と拓真の声が重なる。
「まぁでも……なんて言うか青春って感じだね」
「わかるー」
「はるちゃんモテモテだねぇ〜」
「あーうちも青春したーい」
遥が戻ってくるまで後、数分。
秘める感情に無自覚な朔と、自分の感情に素直な千雅の闘いをドラマ感覚で楽しむ、この三人の会話が遥に届く事はない。


