部署内のみんなと「お疲れさま」と挨拶を交わしながらエレベーターに乗る。退勤時で多くの人が行き交うビルを出た帆奈美は、いきなり目の前に現れた人物を見て足を止めた。
一瞬で頭が真っ白になる。
なぜ、ここに彼――東城宏臣がいるのか。
このビルには帆奈美の職場があり、愛理が勤める輸入雑貨店はない。宏臣が知っているはずのない場所だ。
思わず周囲を見回した。自分の後ろに誰かいるのではないかと思ったのだ。しかし、宏臣の視線は明らかにこちらへ向けられている。
頭の中で警鐘が鳴り響く。逃げ場を探すように視線を泳がせた瞬間、彼が一歩近づいた。
「これは、どういうことでしょうか」
宏臣はスーツ姿のまま、いつものように落ち着いた表情をしていた。怒っているようにも見えない。だが、穏やかな目にはわずかな硬さがある。それがかえって怖い。
(……バレた)
状況を理解した途端、心臓が跳ね上がる。全身をロープでぐるぐる巻きにされたみたいに動けなかった。身じろぎさえできない。
愛理が父親に身代わりのことまで話したのだろうか。それとも宏臣が自分で調べたのか。 相手は東城グループの御曹司だ。調べようと思えば、いくらでも調べられる立場の人間だろう。
一瞬で頭が真っ白になる。
なぜ、ここに彼――東城宏臣がいるのか。
このビルには帆奈美の職場があり、愛理が勤める輸入雑貨店はない。宏臣が知っているはずのない場所だ。
思わず周囲を見回した。自分の後ろに誰かいるのではないかと思ったのだ。しかし、宏臣の視線は明らかにこちらへ向けられている。
頭の中で警鐘が鳴り響く。逃げ場を探すように視線を泳がせた瞬間、彼が一歩近づいた。
「これは、どういうことでしょうか」
宏臣はスーツ姿のまま、いつものように落ち着いた表情をしていた。怒っているようにも見えない。だが、穏やかな目にはわずかな硬さがある。それがかえって怖い。
(……バレた)
状況を理解した途端、心臓が跳ね上がる。全身をロープでぐるぐる巻きにされたみたいに動けなかった。身じろぎさえできない。
愛理が父親に身代わりのことまで話したのだろうか。それとも宏臣が自分で調べたのか。 相手は東城グループの御曹司だ。調べようと思えば、いくらでも調べられる立場の人間だろう。



