愛理は胸の前で手を組み、途端に饒舌に話しだす。舞台を思い浮かべているのか、ここではないどこかを見ている目はキラキラと輝いた。
よほど熱を入れているのがわかる。
「その中でも好きな男役の方はいるんですか?」
「もちろん! 瑞月ひかるさんです!」
これまでになくぱぁっと顔が華やいだ。
「男役のかっこよさの中に、ふっと女性らしい優しさが見える瞬間があって、そこがたまらなく魅力的なんです。キリッとしているのに、笑うとすごく柔らかい表情になるところとか――」
彼女の推しへの愛は止まらない。料理が続々と運ばれてくる間も、鳳麗歌劇団がどれほど素晴らしいのか、瑞月ひかるがどれだけ魅力的なのかを惜しげもなく伝えてくる。
うれしそうに話す彼女の表情に、宏臣は不覚にも見入ってしまった。
やがてメインの肉料理と、愛理が追加で頼んだステーキがテーブルに運ばれてきた。皿が置かれるたびに、立ちのぼる香ばしい香りが空気に混ざる。
愛理は「わあ」と小さく声を上げ、一瞬だけ口をつぐんだ。だが、ナイフとフォークを手に取ると、またすぐに先ほどの続きに戻る。
鳳麗歌劇団の公演は年に何度も観に行くこと。新作の演目が発表されるたびに胸が躍ること。そんな話を、楽しそうに身振りを交えながら語っていく。
その合間に、ステーキをひと口大に切り分けて口へ運ぶ。頬張った瞬間、ぱっと顔が明るくなった。目を細めて、いかにも幸せそうに噛みしめている。
よほど熱を入れているのがわかる。
「その中でも好きな男役の方はいるんですか?」
「もちろん! 瑞月ひかるさんです!」
これまでになくぱぁっと顔が華やいだ。
「男役のかっこよさの中に、ふっと女性らしい優しさが見える瞬間があって、そこがたまらなく魅力的なんです。キリッとしているのに、笑うとすごく柔らかい表情になるところとか――」
彼女の推しへの愛は止まらない。料理が続々と運ばれてくる間も、鳳麗歌劇団がどれほど素晴らしいのか、瑞月ひかるがどれだけ魅力的なのかを惜しげもなく伝えてくる。
うれしそうに話す彼女の表情に、宏臣は不覚にも見入ってしまった。
やがてメインの肉料理と、愛理が追加で頼んだステーキがテーブルに運ばれてきた。皿が置かれるたびに、立ちのぼる香ばしい香りが空気に混ざる。
愛理は「わあ」と小さく声を上げ、一瞬だけ口をつぐんだ。だが、ナイフとフォークを手に取ると、またすぐに先ほどの続きに戻る。
鳳麗歌劇団の公演は年に何度も観に行くこと。新作の演目が発表されるたびに胸が躍ること。そんな話を、楽しそうに身振りを交えながら語っていく。
その合間に、ステーキをひと口大に切り分けて口へ運ぶ。頬張った瞬間、ぱっと顔が明るくなった。目を細めて、いかにも幸せそうに噛みしめている。



