穏やかなくせに鋭さを秘めた彼の眼差しに、これ以上嘘は通用しないように感じる。いつボロが出てもおかしくない状況だ。なにしろ帆奈美は良家のお嬢様ではないのだから。いくら澄まして取り繕っても、生来のものは隠しようがない。
《それはダメ! うちのお父さんもお母さんも、無事に顔合わせが済んだって思ってるの。だからお願い! ね? 帆奈美ちゃん》
電話の向こうで愛理が両手を合わせているのが目に浮かぶ。直接顔を合わしていなくても、彼女のお願い攻撃の威力ときたらない。助けてあげたくなってしまうのは、大学生のときから変わらない。愛理の頼みを断りきれた試しがないのだ。
「……わかったわよ。でも、これ以上ややこしくなったら本当に知らないからね」
《ありがとう、帆奈美ちゃん! 次こそ、しっかり振られてきてね!》
ぱっと花が咲いたような明るい声が返ってきた。
(ほんと、調子いいんだから……)
スマートフォンを耳に当てたまま、帆奈美は天井を仰いだ。
《それはダメ! うちのお父さんもお母さんも、無事に顔合わせが済んだって思ってるの。だからお願い! ね? 帆奈美ちゃん》
電話の向こうで愛理が両手を合わせているのが目に浮かぶ。直接顔を合わしていなくても、彼女のお願い攻撃の威力ときたらない。助けてあげたくなってしまうのは、大学生のときから変わらない。愛理の頼みを断りきれた試しがないのだ。
「……わかったわよ。でも、これ以上ややこしくなったら本当に知らないからね」
《ありがとう、帆奈美ちゃん! 次こそ、しっかり振られてきてね!》
ぱっと花が咲いたような明るい声が返ってきた。
(ほんと、調子いいんだから……)
スマートフォンを耳に当てたまま、帆奈美は天井を仰いだ。



