この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました

 人の流れに混じりながら周囲を見回し、クラブハウスサンドを売るワゴンの列に並んだ。少し前に同僚が、『鶏モモ肉のオレンジ風味サンドがおいしい』と話していたのを思い出したのだ。

 その隣に出店していたワゴンでホットコーヒーもゲットし、ビルの合間に設けられた休憩スペースに腰を下ろした。周りには同じように近くで買ったお昼ご飯を広げる人たちがいる。初夏の風が気持ちいい。
 コーヒーで喉を潤してから早速包みを開ける。鶏のほかに目玉焼きとベーコン、レタスも挟まれていて目にも鮮やかだ。
 早速かぶりつく。

 「ん~! おいしい!」

 思わずひとり言が零れる。ほのかに苦味のあるオレンジの甘酸っぱさがマヨネーズやケチャップの甘さと混ざり合う、ひと味違う風味だ。
 さらにもうひと口と思ったところで、ポケットのスマートフォンが震えた。

 (え?)

 表示されていた名前を見て固まる。
 先日、身代わりでお見合いした東城宏臣だったのだ。

 もしや、お断りの連絡ではないかと期待と緊張がないまぜになる。三木家にはその旨の連絡はまだ入っていないと、昨夜、愛理本人は言っていた。
 息を呑み、メッセージ開く。