この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました

 そのひと言に、すべてが込められているようだった。
 指輪の交換では、震えそうになる手を彼がそっと支えてくれた。そのぬくもりに自然と力が抜ける。

 そして――
 牧師の合図に、宏臣がゆっくりと距離を詰めた。
 重なる唇は、これまで交わしてきたどのキスよりも静かで深く、あたたかい。
 祝福の拍手が、やわらかく降り注ぐ。
 顔を上げた先で、宏臣がかすかに微笑んだ。

 「愛してるよ、帆奈美」

 その言葉に、帆奈美は思わず笑みをこぼす。

 「私も愛してます」

 自然に返したその声は、不思議なくらい穏やかだった。
 並んで歩き出すバージンロードの先には、これから続いていくふたりの未来がある。
 もう迷うことはない。どんなときも、この人となら乗り越えていけると心から思える。
 繋いだ手の温もりをたしかめながら、帆奈美はそっと息を吸い込んだ。

 幸せは今、ここからはじまる――。


 END