この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました

 戸惑う帆奈美を真っすぐ見つめたまま、日高が続ける。

 「私ではダメですか」

 息が止まり、頭が真っ白になった。

 「副社長ではなく、私を選んでいただけませんか? 私とならなんの障害もありません。あなたを悩ませたり落ち込ませたり、そういうことはなにひとつない」
 「どうして……そんな……」

 味方だと思っていた人の、あまりにも突然の提案に言葉を失う。理解が追いつかず、ただ茫然とするしかない。
 帆奈美が大きく動揺したそのとき――。

 「随分と手際のいい〝調整〟だな」

 低い声が、割り込んできた。
 ビクンと肩が揺れる。顔を上げるよりも先に、その声の主がわかった。

 「宏臣さん……!?」

 いつからそこにいたのか。視線を向けた先で、宏臣はゆっくりと帆奈美たちを見下ろした。その表情に、温度はない。

 「副社長、いつから……」

 日高が漏らした言葉に、宏臣はわずかに口元を歪めた。

 「最初からだ」