この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました

 同時にキスを解き、慌ててくるくると返していく。

 「もうっ、宏臣さんがキスなんてするから」
 「ねだったのは帆奈美のほうだろ」
 「ねだってません」
 「それじゃ、『ご褒美で』って言われたのは俺の記憶違いというわけだな」
 「も~っ」

 そんなやり取りを繰り返しながら、完成したたこ焼きをお腹に収めていく。
 笑い声が絶えない楽しい時間を過ごしていたそのとき、テーブルの上に裏返しで置いていた帆奈美のスマートフォンが震えた。何気なく画面を見てドキッとする。

 (――日高さんだ)

 鼓動が徐々にスピードを上げていく中、そっと裏返しに戻した。今ここで出るわけにはいかない。

 「出ないのか?」
 「あ、はい……」

 宏臣に問われ、不自然に言葉に詰まってしまった。

 「仕事の連絡か?」

 宏臣の視線が鋭くなったため気が気でない。

 「いえ、母なんですけど、大した用じゃないと思うので」
 「そう?」
 「……はい」