宏臣と想いを通じ合わせてから三週間が経過した。
その間、毎日電話連絡は欠かさないものの、会えたのは一度きり。宏臣が仕事で忙しいのもあるが、帆奈美のほうも日高からたびたび連絡が入り、会っていたためである。
顔を合わせるのは、宏臣より秘書の日高のほうが多いというのだから皮肉なものだ。
彼の言う〝調整〟は思った以上に難航しているらしく、宏臣の母親の怒りも収まっていないと聞く。報告のたびに『私の力不足です』と日高が唇を噛みしめているのを見るにつけ、申し訳ない思いが込み上げた。
その宏臣と久しぶりに会える土曜日の今日、帆奈美はそわそわしながら自宅で彼を待っていた。
宏臣のリクエストにより、今日は帆奈美の部屋でおうちデートの予定になっている。1Kで狭いし、楽しませるものはなにもないと言ったら『帆奈美とふたりで過ごせるなら、それで十分だ』と甘ったるい言葉が返ってきた。
(恥ずかしいけどうれしすぎる……!)
その言葉を思い返すたびに胸がむず痒い。推し以外でこんなにルンルン気分になるのは久しぶりだ。
掃除はばっちりだし、お昼ご飯の準備も万端。あとは彼を待つだけ。ひたすらインターフォンが鳴るのを待っていると、お待ちかねの音がした。
飛びつく勢いで玄関を開け、そのまま彼に抱きつく。
「大胆な歓迎だな」



