この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました

 「そうですよね」
 「なので、形式だけでも整えます」
 「形式を?」
 「出自は変えられませんが、あなたの職務経歴の見せ方を調整するのです」

 日高の言っていることが理解できず、首を傾げる。

 「大学を卒業してからずっと今の会社で働いているんですけど、どうやったらそんなことが?」
 「私に考えがあるので、またこうしてお会いできますか?」
 「……いいほうに転がるなら、ぜひそのお話を聞きたいです」

 彼の母親の頼みを突っぱねたものの、どうしたらいいのかわからない帆奈美にとって、日高の話はとても興味深い。
 東城家の近くにいる日高なら、彼の母親の思考もある程度掴めるだろう。なにかいいアイデアがあるのなら試したい。

 「では、こちらが私の連絡先です。進捗があったら私からご連絡します」

 そう言ってメモを手渡してきた。

 「だけど、どうしてそこまでしてくださるんですか?」

 日高はほんの一瞬だけ視線を伏せ、それから穏やかに言った。

 「副社長が望んでいるからです。彼の部下である私の仕事は、その望みを叶えることです。これまでそうして彼の右腕としてやってきました。ただし――」