「ローザ。なぜ逃げた?」
ちゃっかり名前までばれているし。
なぜも何も……私はただの男爵令嬢。
とてもじゃないけれど、王太子と釣り合うわけがない……!
「はぁ。また来る」
そう言い残して、彼は立ち去ったけど、この日を境に2日と明けずに会いに来る毎日。
軽くお茶をして、他愛もない会話をするだけ。
けれど、そんな関係にも三ヶ月が過ぎる頃、私の身体に異変が起きる。
「げぇぇぇぇ!」
まさかの妊娠……相手は一人しかありえない。
ダメだダメだ……これは本格的に逃げなければ……!!
その夜、ありったけの宝石を鞄に詰め込み、逃げるように王都から走り去る。
しかし、大きな街に逃げても、遠くの小さな村に逃げても、早ければ一週間。
遅くても三ヶ月で王太子は追ってくる。
姿を見かけるたびに逃げ回る日々を過ごしていると、遂に臨月を迎えてしまう。
日付を跨ぐほどの陣痛の末、やっと出会えた我が子。
私の赤毛とは似ても似つかないブロンドの髪の毛。
「リチャードそっくり……」
本当は気がついていた。
初めてお酒を交わした時。
酔うほどに饒舌になり、解ける表情。
年齢よりも幼く見えた笑顔。
事故のように触れた指の温度。
抱きしめる腕の強さに、耳元で囁く声の甘さ。
私はたった一夜で彼に恋をしていたのだ。
けれど、婚約破棄された直後、どうやって信じることができるというのだろう。
彼は何度も私の元に足を運んできてくれた。
彼は私を捨てた元婚約者とは違うこと。そんなのはわかっていたのに。
また裏切られるのが怖かったのだ。
ちゃっかり名前までばれているし。
なぜも何も……私はただの男爵令嬢。
とてもじゃないけれど、王太子と釣り合うわけがない……!
「はぁ。また来る」
そう言い残して、彼は立ち去ったけど、この日を境に2日と明けずに会いに来る毎日。
軽くお茶をして、他愛もない会話をするだけ。
けれど、そんな関係にも三ヶ月が過ぎる頃、私の身体に異変が起きる。
「げぇぇぇぇ!」
まさかの妊娠……相手は一人しかありえない。
ダメだダメだ……これは本格的に逃げなければ……!!
その夜、ありったけの宝石を鞄に詰め込み、逃げるように王都から走り去る。
しかし、大きな街に逃げても、遠くの小さな村に逃げても、早ければ一週間。
遅くても三ヶ月で王太子は追ってくる。
姿を見かけるたびに逃げ回る日々を過ごしていると、遂に臨月を迎えてしまう。
日付を跨ぐほどの陣痛の末、やっと出会えた我が子。
私の赤毛とは似ても似つかないブロンドの髪の毛。
「リチャードそっくり……」
本当は気がついていた。
初めてお酒を交わした時。
酔うほどに饒舌になり、解ける表情。
年齢よりも幼く見えた笑顔。
事故のように触れた指の温度。
抱きしめる腕の強さに、耳元で囁く声の甘さ。
私はたった一夜で彼に恋をしていたのだ。
けれど、婚約破棄された直後、どうやって信じることができるというのだろう。
彼は何度も私の元に足を運んできてくれた。
彼は私を捨てた元婚約者とは違うこと。そんなのはわかっていたのに。
また裏切られるのが怖かったのだ。



