誓いの指輪は、誰のもの? 第1話 再会の緊張と元カレの瞳
真帆と翔太が、豪華なサロンのブースに座っている。二人は幸せそうで、テーブルには婚約指輪のケースが置かれている。
翔太 最高の式にするぞ!一生に一度だもんな、真帆。
真帆 うん!楽しみだね!
ノックの音とともに、爽やかな笑顔の俊が入ってくる。
俊 お待たせいたしました。本日よりお二人の式を担当させていただきます、ウェディングプランナーの俊と申します。
真帆 (俊を見て、ハッと息をのむ。顔がこわばる)
翔太 (立ち上がり、俊に手を差し出す) 翔太です! 最高の式、頼みますよ!
俊 (真帆を一瞬見つめ、すぐにプロの笑顔に戻る) はい。真帆様のために、全てを尽くします。
真帆 (動揺を隠すように、作り笑顔で) よ、よろしくお願いします…。
翔太 (俊に向き直り) さて! 俺たちの馴れ初めから話すか? 実はさ、俊さんの会社のお客さんで、真帆を口説くアドバイスまでもらってたんだ。
俊 (ノートに書き込むペンを持つ手が、わずかに震える。顔は動かさない) (静かに)存じ上げております。私も微力ながらお手伝いさせていただきましたので。
翔太 へへっ、おかげで最高の花嫁ゲットですよ!
俊 (真帆に視線を向け、瞳の奥に強い感情を宿らせる) …ええ。間違いない。
真帆 (俊の視線から逃れるように、指輪のケースを握りしめる)
翔太 (ふと真帆と俊の間に流れる空気に気づき、眉をひそめる) (俊に)……あれ?もしかして、どこかで会ったことあったっけ?
俊 (即座に、冷たいほど完璧な笑顔で) いいえ。本日が初対面です。お客様の情報は、入念にインプットしておりますので。
翔太 (納得したように) そっか。さすがプロだな!
俊 (翔太から目を逸らし、真帆を見つめ続ける。真帆は俯いたまま) (心の中で)嘘だよ。何年経っても、君のことは全部知っている。
誓いの指輪は、誰のもの? 第2話 指輪のサイズと過去の記憶
テーブルには、結婚式のテーマや装花のサンプルが広げられている。真帆と翔太が楽しそうに話す。俊は真向かいで冷静にメモを取っている。
翔太 やっぱケーキは豪華に行こうぜ!この「幸せの青い鳥」のデザイン、いいな!
真帆 えー、でも私、もっとナチュラルな感じがいいな。このデザイン画の、小さな花のモチーフが可愛い。
俊 (真帆が指差したデザイン画に、すぐに赤ペンで印をつける) 承知いたしました。マーガレットですね。真帆様は、昔からああいうシンプルなものがお好きでしたから。
真帆 (驚き、俊の顔を見る) (心の中で)やっぱり、覚えてる…。
翔太 (怪訝な顔で) え?真帆、そんな話してたっけ? 俊さん、なんでそんなに詳しいんだ?
俊 (翔太に完璧な笑顔を向ける) お客様の過去のアンケートデータは全てインプットしておりますので。…ご希望のデザインにマーガレットを追加しましょう。新郎様、よろしいでしょうか?
翔太 あー…まぁ、真帆が喜ぶなら。(俊に少し威圧的な視線を送る)
俊 (さらに次の話題へ進める) それでは、指輪の交換について。お二人のリングピローは、この木製のアンティーク調はいかがですか?真帆様の雰囲気に合うかと。
真帆 (目を輝かせ) 素敵! 私、こういうもの探してた!
翔太 (突然、前のめりになって俊に詰め寄るように) 待てよ。まさか、指輪のサイズまでアンケートに書いてねーだろ?
俊 (真帆の左手の薬指に一瞬だけ視線を落とし、静かに) もちろん、把握しております。真帆様の指輪のサイズは、正確に。(プロとして振舞うが、真帆は俊と付き合っていた頃、彼女の指輪のサイズを正確に知っていたことを思い出す)
真帆 (指輪のケースを思わず引き寄せる。動揺が隠せない)
翔太 (真帆と俊を交互に見つめ、苛立ちを隠せない) ……チッ。
俊 (ノートを閉じる) それでは、本日はこれで。最終の打ち合わせは、挙式当日まで持ち越させていただきます。
誓いの指輪は、誰のもの? 最終話 バージンロードその一秒の沈黙
チャペルの裏。 純白のウェディングドレス姿の真帆が立っている。完璧な美しさ。離れた場所で翔太が少し緊張した面持ちで待機。
俊が、インカムを外し、最終チェックと称して真帆の前に立つ。
俊 (真帆のドレス姿を全身で見つめる。プロの顔が完全に崩れ、瞳が潤む) (絞り出すように)…綺麗だ。
真帆 (優しく微笑む) ありがとう、俊。あなたのプランは本当に最高よ。
俊 (真帆のベールに触れそうになり、手を引っ込める) …こんなに美しい君を見送れるのは、プランナーとして光栄です。
真帆 (切なげな表情で) ねぇ、俊。もう、前に進んでね。
俊 (真帆の目を見据えて、強い決意を込めた目で) 無理、ですね。
俊 (一歩踏み出し、真帆に顔を近づける) 俺が、君を一番幸せにできる。それは今も、変わらない!
翔太 (俊と真帆の間に割って入るように、強い口調で) おい、俊! 時間だ! 俺の真帆と行くぞ!
俊 (ハッと我に返り、プロの顔に戻る。敬礼のポーズ) 失礼いたしました。最高の笑顔で、行ってらっしゃいませ。
チャペル入口。 真帆は戸惑いながらも、翔太の腕を取り、バージンロードへ踏み出す。
俊は二人の背中を見送り、プロの笑顔を崩す。その目に一筋の涙がこぼれる。
俊がポケットから昔の真帆とのツーショット写真を取り出し、指で誓いの指輪をはめている真帆の左手を隠すように重ねる。
誓いの指輪は、誰のもの? 特別番外編 最高のプランナーと、新しい花 第1話 空白の席と、一本のバラ
チャペル裏の通路。真帆と翔太の結婚式から数週間後。俊は、あの時真帆を見送った場所に一人立っている。彼のポケットには、まだ真帆とのツーショット写真が入っている。
俊 (写真を見つめ、静かに) …最高のプランナーにはなれた。でも、最高の相手にはなれなかった。
俊が写真を取り出し、ゴミ箱に入れようとするが、できずにポケットに戻す。
ウェディングサロン。 俊はいつも通り、次のカップルとの打ち合わせを完璧にこなしている。
俊 (笑顔で) かしこまりました。テーマは「秘密の森のパーティー」ですね。素晴らしいです。
次の打ち合わせのために、一人の女性、美咲がサロンに入ってくる。彼女は飾らない笑顔で、大きな花束を抱えている。
美咲 すみません、ウェディングプランナーの俊さんでいらっしゃいますか?
俊 (プロの笑顔で) はい、私が俊です。ようこそ。…そのお花は?
美咲 (花束から一本の赤いバラを抜き取り、俊に差し出す) 打ち合わせの前に、最高のプランナーさんへのお礼です。私の親友の結婚式、本当に感動的でした!あれ、俊さんが担当したんですよね?
俊 (戸惑いながらバラを受け取る) 親友さん…?(別の顧客だと気づく)ありがとうございます。
美咲 私、あの式の最後の演出に感動して。新郎新婦の言葉じゃなくて、プランナーさんの表情が、一番心に残ったんです。
俊 (表情が固まる。あの時、真帆に向けた切ない感情が漏れていたことを悟る)
美咲 (キラキラした目で) なんか、すごく情熱的で、愛に溢れてるって!だから、私、俊さんにお願いしたいんです。最高の式を。
俊は受け取った赤いバラを、デスクに飾っていた真帆との思い出のマーガレットの横に置く。
誓いの指輪は、誰のもの? 特別番外編 最高のプランナーと、新しい花 第2話 マーガレットと、赤いバラの対比
ウェディングサロンの打ち合わせブース。美咲が持ってきた「秘密の森のパーティー」のプランについて、俊と話し合っている。
美咲 私、ウェディングドレスは絶対にマーメイドラインがいいんです!でも、彼はプリンセスラインを推してきて…。
俊 (パソコンの画面を操作しながら) どちらも素敵ですが、美咲さんの凛とした雰囲気にはマーメイドが映えますね。ただ、プリンセスラインが合うように、森のテーマに可憐な装花を足すのはいかがでしょう?
美咲 わー!さすがです。
俊は完璧な提案をするが、手元のファイルに挟まれた真帆との過去のメモに手が触れる。そこには、「真帆にはマーメイドよりプリンセスが似合う」と書いてある。
俊 (一瞬、手が止まるが、すぐに美咲に向き直る) ええと、では、その可憐な花を何にするかですね。マーガレット、いかがですか?
美咲 (すぐに首を振る) うーん、マーガレットはちょっと地味かな。私には、もっと情熱的な、赤いバラみたいな花が似合うって、俊さん思いますか?
俊 (デスクに飾ってある、美咲にもらった赤いバラと、真帆との思い出のマーガレットに視線をやる) (静かに) …赤いバラ。いいですね。美咲さんの力強い美しさを表現するには、最適です。
美咲 (嬉しそうに) ありがとうございます!やっぱり俊さんとは話が合います!前のプランナーさんは、私のこと全然見てくれてない感じがしたから。
俊 (美咲のまっすぐな目を見て、ハッとする) (心の中で)僕の視線は、ずっと過去の幻を見ていたんじゃないか?
美咲 (立ち上がり) じゃあ、次の打ち合わせで、具体的な赤いバラのプランを楽しみにしていますね!
俊 (深く頭を下げる) はい。最高の式を、お約束します。
美咲が去り、俊はデスクに戻る。赤いバラを手に取り、その情熱的な色を見つめる。
俊 (心の中で) 前に進む。プランナーとして、一人の男として。
誓いの指輪は、誰のもの? 特別番外編 最高のプランナーと、新しい花 最終話 君の幸せと、僕の新しい誓い
ウェディングサロン。 打ち合わせを終えた俊と美咲。美咲はプランの仕上がりに大満足。
美咲 完璧です!俊さんが担当してくれて、本当に良かった!
俊 (心からの笑顔で) ありがとうございます。私も、美咲さんからたくさんの情熱をいただきました。
美咲 (少しいたずらっぽい顔で) ねぇ、俊さん。私、結婚したら、このサロンにお祝いの赤いバラを毎週届けに来ますね。俊さんのデスクを、赤いバラでいっぱいにしちゃう!
俊 (笑って) それは困りますね。他のお客様に、プロポーズと勘違いされてしまいます。
美咲 (笑いながら) えー!勘違いする人なんていないですよ。俊さん、すごくプロフェッショナルだもん。
美咲は帰っていく。俊はデスクに戻り、ポケットから真帆とのツーショット写真を取り出す。
俊 (写真を見つめ、静かに微笑む。そして、ゴミ箱に静かに捨てる)
俊 (立ち上がり、赤いバラを手に取る) (心の中で) 僕の最高のプランニングを、君に。
俊は、新しいお客様との打ち合わせに向かうため、サロンを出る。
街中。 俊が歩いていると、偶然、真帆が翔太と腕を組んで、楽しそうに歩いているのが見える。真帆の薬指には指輪が光っている。
真帆 (俊に気づかず、翔太に笑いかける)
俊 (立ち止まり、二人の背中を少しの間見つめる。悲しい顔はせず、穏やかな笑顔を浮かべる)
俊 (心の中で) 真帆、幸せになれよ。
俊は、美咲にもらった赤いバラを手に、背筋を伸ばして歩き出す。その足取りは、力強く、前を向いている。
真帆と翔太が、豪華なサロンのブースに座っている。二人は幸せそうで、テーブルには婚約指輪のケースが置かれている。
翔太 最高の式にするぞ!一生に一度だもんな、真帆。
真帆 うん!楽しみだね!
ノックの音とともに、爽やかな笑顔の俊が入ってくる。
俊 お待たせいたしました。本日よりお二人の式を担当させていただきます、ウェディングプランナーの俊と申します。
真帆 (俊を見て、ハッと息をのむ。顔がこわばる)
翔太 (立ち上がり、俊に手を差し出す) 翔太です! 最高の式、頼みますよ!
俊 (真帆を一瞬見つめ、すぐにプロの笑顔に戻る) はい。真帆様のために、全てを尽くします。
真帆 (動揺を隠すように、作り笑顔で) よ、よろしくお願いします…。
翔太 (俊に向き直り) さて! 俺たちの馴れ初めから話すか? 実はさ、俊さんの会社のお客さんで、真帆を口説くアドバイスまでもらってたんだ。
俊 (ノートに書き込むペンを持つ手が、わずかに震える。顔は動かさない) (静かに)存じ上げております。私も微力ながらお手伝いさせていただきましたので。
翔太 へへっ、おかげで最高の花嫁ゲットですよ!
俊 (真帆に視線を向け、瞳の奥に強い感情を宿らせる) …ええ。間違いない。
真帆 (俊の視線から逃れるように、指輪のケースを握りしめる)
翔太 (ふと真帆と俊の間に流れる空気に気づき、眉をひそめる) (俊に)……あれ?もしかして、どこかで会ったことあったっけ?
俊 (即座に、冷たいほど完璧な笑顔で) いいえ。本日が初対面です。お客様の情報は、入念にインプットしておりますので。
翔太 (納得したように) そっか。さすがプロだな!
俊 (翔太から目を逸らし、真帆を見つめ続ける。真帆は俯いたまま) (心の中で)嘘だよ。何年経っても、君のことは全部知っている。
誓いの指輪は、誰のもの? 第2話 指輪のサイズと過去の記憶
テーブルには、結婚式のテーマや装花のサンプルが広げられている。真帆と翔太が楽しそうに話す。俊は真向かいで冷静にメモを取っている。
翔太 やっぱケーキは豪華に行こうぜ!この「幸せの青い鳥」のデザイン、いいな!
真帆 えー、でも私、もっとナチュラルな感じがいいな。このデザイン画の、小さな花のモチーフが可愛い。
俊 (真帆が指差したデザイン画に、すぐに赤ペンで印をつける) 承知いたしました。マーガレットですね。真帆様は、昔からああいうシンプルなものがお好きでしたから。
真帆 (驚き、俊の顔を見る) (心の中で)やっぱり、覚えてる…。
翔太 (怪訝な顔で) え?真帆、そんな話してたっけ? 俊さん、なんでそんなに詳しいんだ?
俊 (翔太に完璧な笑顔を向ける) お客様の過去のアンケートデータは全てインプットしておりますので。…ご希望のデザインにマーガレットを追加しましょう。新郎様、よろしいでしょうか?
翔太 あー…まぁ、真帆が喜ぶなら。(俊に少し威圧的な視線を送る)
俊 (さらに次の話題へ進める) それでは、指輪の交換について。お二人のリングピローは、この木製のアンティーク調はいかがですか?真帆様の雰囲気に合うかと。
真帆 (目を輝かせ) 素敵! 私、こういうもの探してた!
翔太 (突然、前のめりになって俊に詰め寄るように) 待てよ。まさか、指輪のサイズまでアンケートに書いてねーだろ?
俊 (真帆の左手の薬指に一瞬だけ視線を落とし、静かに) もちろん、把握しております。真帆様の指輪のサイズは、正確に。(プロとして振舞うが、真帆は俊と付き合っていた頃、彼女の指輪のサイズを正確に知っていたことを思い出す)
真帆 (指輪のケースを思わず引き寄せる。動揺が隠せない)
翔太 (真帆と俊を交互に見つめ、苛立ちを隠せない) ……チッ。
俊 (ノートを閉じる) それでは、本日はこれで。最終の打ち合わせは、挙式当日まで持ち越させていただきます。
誓いの指輪は、誰のもの? 最終話 バージンロードその一秒の沈黙
チャペルの裏。 純白のウェディングドレス姿の真帆が立っている。完璧な美しさ。離れた場所で翔太が少し緊張した面持ちで待機。
俊が、インカムを外し、最終チェックと称して真帆の前に立つ。
俊 (真帆のドレス姿を全身で見つめる。プロの顔が完全に崩れ、瞳が潤む) (絞り出すように)…綺麗だ。
真帆 (優しく微笑む) ありがとう、俊。あなたのプランは本当に最高よ。
俊 (真帆のベールに触れそうになり、手を引っ込める) …こんなに美しい君を見送れるのは、プランナーとして光栄です。
真帆 (切なげな表情で) ねぇ、俊。もう、前に進んでね。
俊 (真帆の目を見据えて、強い決意を込めた目で) 無理、ですね。
俊 (一歩踏み出し、真帆に顔を近づける) 俺が、君を一番幸せにできる。それは今も、変わらない!
翔太 (俊と真帆の間に割って入るように、強い口調で) おい、俊! 時間だ! 俺の真帆と行くぞ!
俊 (ハッと我に返り、プロの顔に戻る。敬礼のポーズ) 失礼いたしました。最高の笑顔で、行ってらっしゃいませ。
チャペル入口。 真帆は戸惑いながらも、翔太の腕を取り、バージンロードへ踏み出す。
俊は二人の背中を見送り、プロの笑顔を崩す。その目に一筋の涙がこぼれる。
俊がポケットから昔の真帆とのツーショット写真を取り出し、指で誓いの指輪をはめている真帆の左手を隠すように重ねる。
誓いの指輪は、誰のもの? 特別番外編 最高のプランナーと、新しい花 第1話 空白の席と、一本のバラ
チャペル裏の通路。真帆と翔太の結婚式から数週間後。俊は、あの時真帆を見送った場所に一人立っている。彼のポケットには、まだ真帆とのツーショット写真が入っている。
俊 (写真を見つめ、静かに) …最高のプランナーにはなれた。でも、最高の相手にはなれなかった。
俊が写真を取り出し、ゴミ箱に入れようとするが、できずにポケットに戻す。
ウェディングサロン。 俊はいつも通り、次のカップルとの打ち合わせを完璧にこなしている。
俊 (笑顔で) かしこまりました。テーマは「秘密の森のパーティー」ですね。素晴らしいです。
次の打ち合わせのために、一人の女性、美咲がサロンに入ってくる。彼女は飾らない笑顔で、大きな花束を抱えている。
美咲 すみません、ウェディングプランナーの俊さんでいらっしゃいますか?
俊 (プロの笑顔で) はい、私が俊です。ようこそ。…そのお花は?
美咲 (花束から一本の赤いバラを抜き取り、俊に差し出す) 打ち合わせの前に、最高のプランナーさんへのお礼です。私の親友の結婚式、本当に感動的でした!あれ、俊さんが担当したんですよね?
俊 (戸惑いながらバラを受け取る) 親友さん…?(別の顧客だと気づく)ありがとうございます。
美咲 私、あの式の最後の演出に感動して。新郎新婦の言葉じゃなくて、プランナーさんの表情が、一番心に残ったんです。
俊 (表情が固まる。あの時、真帆に向けた切ない感情が漏れていたことを悟る)
美咲 (キラキラした目で) なんか、すごく情熱的で、愛に溢れてるって!だから、私、俊さんにお願いしたいんです。最高の式を。
俊は受け取った赤いバラを、デスクに飾っていた真帆との思い出のマーガレットの横に置く。
誓いの指輪は、誰のもの? 特別番外編 最高のプランナーと、新しい花 第2話 マーガレットと、赤いバラの対比
ウェディングサロンの打ち合わせブース。美咲が持ってきた「秘密の森のパーティー」のプランについて、俊と話し合っている。
美咲 私、ウェディングドレスは絶対にマーメイドラインがいいんです!でも、彼はプリンセスラインを推してきて…。
俊 (パソコンの画面を操作しながら) どちらも素敵ですが、美咲さんの凛とした雰囲気にはマーメイドが映えますね。ただ、プリンセスラインが合うように、森のテーマに可憐な装花を足すのはいかがでしょう?
美咲 わー!さすがです。
俊は完璧な提案をするが、手元のファイルに挟まれた真帆との過去のメモに手が触れる。そこには、「真帆にはマーメイドよりプリンセスが似合う」と書いてある。
俊 (一瞬、手が止まるが、すぐに美咲に向き直る) ええと、では、その可憐な花を何にするかですね。マーガレット、いかがですか?
美咲 (すぐに首を振る) うーん、マーガレットはちょっと地味かな。私には、もっと情熱的な、赤いバラみたいな花が似合うって、俊さん思いますか?
俊 (デスクに飾ってある、美咲にもらった赤いバラと、真帆との思い出のマーガレットに視線をやる) (静かに) …赤いバラ。いいですね。美咲さんの力強い美しさを表現するには、最適です。
美咲 (嬉しそうに) ありがとうございます!やっぱり俊さんとは話が合います!前のプランナーさんは、私のこと全然見てくれてない感じがしたから。
俊 (美咲のまっすぐな目を見て、ハッとする) (心の中で)僕の視線は、ずっと過去の幻を見ていたんじゃないか?
美咲 (立ち上がり) じゃあ、次の打ち合わせで、具体的な赤いバラのプランを楽しみにしていますね!
俊 (深く頭を下げる) はい。最高の式を、お約束します。
美咲が去り、俊はデスクに戻る。赤いバラを手に取り、その情熱的な色を見つめる。
俊 (心の中で) 前に進む。プランナーとして、一人の男として。
誓いの指輪は、誰のもの? 特別番外編 最高のプランナーと、新しい花 最終話 君の幸せと、僕の新しい誓い
ウェディングサロン。 打ち合わせを終えた俊と美咲。美咲はプランの仕上がりに大満足。
美咲 完璧です!俊さんが担当してくれて、本当に良かった!
俊 (心からの笑顔で) ありがとうございます。私も、美咲さんからたくさんの情熱をいただきました。
美咲 (少しいたずらっぽい顔で) ねぇ、俊さん。私、結婚したら、このサロンにお祝いの赤いバラを毎週届けに来ますね。俊さんのデスクを、赤いバラでいっぱいにしちゃう!
俊 (笑って) それは困りますね。他のお客様に、プロポーズと勘違いされてしまいます。
美咲 (笑いながら) えー!勘違いする人なんていないですよ。俊さん、すごくプロフェッショナルだもん。
美咲は帰っていく。俊はデスクに戻り、ポケットから真帆とのツーショット写真を取り出す。
俊 (写真を見つめ、静かに微笑む。そして、ゴミ箱に静かに捨てる)
俊 (立ち上がり、赤いバラを手に取る) (心の中で) 僕の最高のプランニングを、君に。
俊は、新しいお客様との打ち合わせに向かうため、サロンを出る。
街中。 俊が歩いていると、偶然、真帆が翔太と腕を組んで、楽しそうに歩いているのが見える。真帆の薬指には指輪が光っている。
真帆 (俊に気づかず、翔太に笑いかける)
俊 (立ち止まり、二人の背中を少しの間見つめる。悲しい顔はせず、穏やかな笑顔を浮かべる)
俊 (心の中で) 真帆、幸せになれよ。
俊は、美咲にもらった赤いバラを手に、背筋を伸ばして歩き出す。その足取りは、力強く、前を向いている。



