君がいた幕末で


すると男はあっさり答えた。

「長州だが?」

当たり前のように。

長州。

その言葉を知らないわけがない。

幕末。

長州藩。

高杉晋作。

頭の中で全てが繋がる。

嘘だ。

そんなはずない。

だけど。

目の前の景色も。

目の前の男も。

全部本物に見えた。

「顔色悪いぞ」

晋作が笑う。

「大丈夫か?」

私は一歩後ずさった。

そして小さく呟く。

「……嘘でしょ」

だけど。

誰もその言葉を否定してくれなかった。