君がいた幕末で



「歌ってあげる」

総司が顔を上げる。

私は優しく微笑む。

そして。

静かに歌い始めた。

誰かを安心させるための歌。

誰かの心を温めるための歌。

月明かりの下。

その歌声は。

静かに夜へ溶けていった。

総司は目を閉じる。

歌を聞いているうちに。

胸の苦しさが消えていく。

心の重さも。

悲しさも。

全部少しずつ溶けていく。

不思議だった。

こんなことは初めてだった。