君がいた幕末で


夜風が頬を撫でる。

私は空を見上げながら歌っていた。

大好きな歌。

この時代には存在しない歌。

歌っている間だけは。

少しだけ寂しさを忘れられる。

帰れないかもしれない不安も。

家族に会えない寂しさも。

全部。

歌の中へ溶けていく気がした。

だけど。

歌い終わった瞬間。

現実に引き戻される。

ぽろり。

また涙が零れた。