夜風が頬を撫でる。 私は空を見上げながら歌っていた。 大好きな歌。 この時代には存在しない歌。 歌っている間だけは。 少しだけ寂しさを忘れられる。 帰れないかもしれない不安も。 家族に会えない寂しさも。 全部。 歌の中へ溶けていく気がした。 だけど。 歌い終わった瞬間。 現実に引き戻される。 ぽろり。 また涙が零れた。