君がいた幕末で


「泣いてた?」

私が聞く。

総司は首を振る。

「泣いてないよ」

絶対嘘だった。

私は少し笑う。

「嘘つき」

総司も少しだけ笑った。

でも。

その笑顔は寂しかった。

しばらく沈黙が続く。

風が吹く。

月が綺麗だった。

やがて。

総司がぽつりと呟く。

「れなって不思議だね」

私は首を傾げた。

「どうして?」

総司は空を見上げる。

「自分より他人だから」

「普通は怖いでしょ」

私は少し考える。

そして笑った。

「怖かったよ」

本当だった。

すごく怖かった。