君がいた幕末で


総司の手から刀が下がる。

平助は顔を青くする。

想定外だった。

池田屋に来るとは思っていた。

でも。

命を懸けるなんて思っていなかった。

玄瑞がれなを抱き留める。

「れな!」

震える声だった。

私はぼんやり笑う。

「としまろ……」

「無事?」

稔麿は泣きそうな顔で頷いた。

その時。

土方の声が響く。

「連れて帰るぞ!」

玄瑞が睨む。

「渡さん!」

空気が張り詰める。

だけど。

れなの呼吸は浅い。

争っている時間はなかった。