君がいた幕末で


池田屋の中は混乱していた。

怒号。

刀の音。

悲鳴。

血の匂い。

私は必死に人混みをかき分ける。

嫌な予感がする。

知っている。

この先を知っている。

だからこそ。

止めなければならなかった。

視界の先。

稔麿がいた。

そして。

その前には総司。

刀を構えている。

私の身体から血の気が引いた。

駄目。

間に合って。

お願い。