君がいた幕末で


「あの」

「……なんだ」

「部屋に帰りたい」

一が固まる。

数秒後。

「迷ったのか」

私は黙った。

それが答えだった。

一は小さくため息を吐く。

無言で歩き始める一。

私は慌てて後を追う。

しばらくして。

見覚えのある場所が見えてきた。

「あ!」

私は顔を明るくする。

一は何も言わない。

だけど。

少しだけ歩く速度を落としてくれていた。