君がいた幕末で


「玄瑞がいるから」

私は自然に言った。

本当に自然だった。

何も考えていなかった。

だけど。

平助は固まる。

玄瑞。

久坂玄瑞。

その名前を口にした時だけ。

れなの表情が少し柔らかくなった。

平助は空を見上げた。

なんとなく分かった。

れな本人は気付いていない。

でも。

自分は気付いてしまった。

この子が一番会いたい相手は。

長州でも。

晋作でも。

稔麿でもない。

久坂玄瑞なんだと。

その事実が。

少しだけ胸を痛くした。