君がいた幕末で


夜。

玄瑞は一人で縁側に座っていた。

静かだった。

風の音だけが聞こえる。

いつもなら。

ここで歌が聞こえていた。

優しい歌声。

不思議な歌声。

今は何もない。

玄瑞は目を閉じる。

すると自然に思い出す。

笑うれな。

怒るれな。

泣くれな。

眠そうなれな。

全部浮かぶ。

忘れようとしても。

勝手に思い出してしまう。