君がいた幕末で


「別に……普通だし」

思わず俯く。

すると。

土方が初めて口を開いた。

「普通じゃねぇな」

私は顔を上げた。

土方はそれ以上何も言わない。

だが。

その言葉だけで十分だった。

れなは知らない。

その歌が。

少しずつ人の心を変えていることを。

そして。

その歌が玄瑞の元へ届かないことを。

玄瑞が誰より寂しく思っていることを。