君がいた幕末で


屯所の廊下。

通りかかった隊士が足を止める。

「……なんだ?」

聞こえてきた歌声。

誰かが歌っている。

自然と耳を傾ける。

すると。

また別の隊士も立ち止まった。

不思議な光景だった。

歌は続く。

優しく。

どこか切なく。

聞いているだけで胸が温かくなる。

隊士達は顔を見合わせた。

「誰だ?」

「知らねぇ」

「こんな声初めて聞いた」

誰も動かない。

ただ聞いていた。