その時。 遠くから声が聞こえた。 「れな!」 晋作だった。 私はぱっと振り返る。 顔が明るくなる。 その瞬間だった。 平助が見たのは。 さっきまで警戒していた少女が。 安心したように笑う姿。 そして。 玄瑞の隣へ駆けていく姿だった。 平助は無意識に思う。 ――なんであいつにはそんな顔するんだろう。 と。