君がいた幕末で


「悪い」

低い声だった。

私は顔を上げる。

そこには一人の少年。

歳は私とそう変わらない。

優しそうな目。

明るい笑顔。

少年は落ちた巾着を拾う。

そして私へ巾着を渡そうとする。

少女の顔を見て驚いた。

綺麗だった。

今まで見たことのない顔立ち。

少し色の薄い髪。

光を受けて輝く瞳。

京都でも滅多に見ない。

不思議な娘だった。

「ほら」

私は少し驚く。

優しい人だった。