君がいた幕末で


その時だった。

遠くから町の人の声が聞こえる。

「あの娘の歌を聞くと元気が出るなぁ」

「本当だ」

「不思議なもんだ」

私は思わず振り返る。

歌の話だった。

私のことだろうか。

玄瑞もその声を聞いていた。

そして小さく呟く。

「確かにな」