君がいた幕末で


私は高杉晋作の背中を見つめた。

本当に行くの?

知らない人について行くなんて危険すぎる。

現代なら絶対ダメなやつだ。

でも。

ここが本当に幕末なら。

他に頼れる人なんていない。

私は小さく息を吐いた。

「……行きます」

晋作が振り返る。

そして少し笑った。

「そうか」

それだけだった。

無理に安心させるわけでもなく。

急かすわけでもなく。

その自然さが少しだけ心強かった。

私は足元のキャリーケースを引く。

ガラガラと音が鳴った。

すると晋作が振り返る。

「さっきから気になっていたんだが」

「ん?」

「その箱は何だ」