君がいた幕末で


玄瑞だった。

「なんでため息?」

私が聞く。

玄瑞は少しだけ視線を逸らした。

そして。

「雨音が聞こえなかった」

真顔で言う。

私は固まる。

「褒めてないよね?」

「褒めてない」

即答だった。

だけど。

その口元は少しだけ緩んでいた。

私は見逃さなかった。

「今笑った!」

「気のせいだ」

その言葉に。

稔麿が吹き出した。

雨の日の静かな時間に。

三人の笑い声が小さく響いた。