君がいた幕末で


風が気持ちいい。

私は丘の上に座り、空を見上げた。

青い空。

流れる雲。

嫌なことがあった日は、いつもここへ来る。

そして歌う。

歌っている間だけは何も考えなくていいから。

私は目を閉じた。

ゆっくり息を吸う。

そして歌い始める。

大好きな歌を。

風に乗って音が空へ溶けていく。

歌うことが好き。

昔からずっと。

悲しい時も。

苦しい時も。

歌っている間だけは忘れられる。

最後のフレーズを歌い終えた。

すると——

パチ、パチ、パチ。

突然拍手が聞こえた。