いつもの朝。
いつもの時間。
いつもの駅前で、神谷湊は待っていた。
街路樹の葉を揺らす風も、通学する学生たちの姿も、見慣れた景色ばかり。
その中で一つだけ変わらないものがある。
「おはよ、湊」
聞き慣れた声。振り返れば、朝倉陽菜が小走りで駆け寄ってきた。
「おはよ」
湊は軽く手を上げる。
「またギリギリじゃん」
「ギリギリじゃないし。まだ五分あるし」
「十分前行動って知ってる?」
「知らなーい」
陽菜はそう言って笑った。
いつも通りのやり取り。
小学生の頃から何度も繰り返してきた会話。
二人は並んで歩き出す。
途中でコンビニに寄ったり。
くだらない話で笑ったり。
テストの愚痴を言い合ったり。
そんな時間が当たり前だった。
だから陽菜は考えたこともなかった。
隣に湊がいることを。
朝になれば会えることを。
放課後になれば一緒に帰ることを。
それが、ずっと続くものだと思っていた。
「そういえばさ」
校門が見えてきた頃、湊が口を開く。
「今日の放課後空いてる?」
「ん? たぶん」
「じゃあ帰り、付き合って」
「なにそれ」
陽菜は首を傾げる。
「買い物?」
「まあ、そんな感じ」
「ふーん」
深く考えずに頷く。
幼馴染だから。
理由なんて聞かなくてもいいと思った。
でも。
もしこの時の私が知っていたら。
今日という日が、今までと同じじゃないことを。
これから先、少しずつ何かが変わっていくことを。
私はもっと違う返事をしていただろうか。
そんなことを考えるのは、ずっと後の話だった。
いつもの時間。
いつもの駅前で、神谷湊は待っていた。
街路樹の葉を揺らす風も、通学する学生たちの姿も、見慣れた景色ばかり。
その中で一つだけ変わらないものがある。
「おはよ、湊」
聞き慣れた声。振り返れば、朝倉陽菜が小走りで駆け寄ってきた。
「おはよ」
湊は軽く手を上げる。
「またギリギリじゃん」
「ギリギリじゃないし。まだ五分あるし」
「十分前行動って知ってる?」
「知らなーい」
陽菜はそう言って笑った。
いつも通りのやり取り。
小学生の頃から何度も繰り返してきた会話。
二人は並んで歩き出す。
途中でコンビニに寄ったり。
くだらない話で笑ったり。
テストの愚痴を言い合ったり。
そんな時間が当たり前だった。
だから陽菜は考えたこともなかった。
隣に湊がいることを。
朝になれば会えることを。
放課後になれば一緒に帰ることを。
それが、ずっと続くものだと思っていた。
「そういえばさ」
校門が見えてきた頃、湊が口を開く。
「今日の放課後空いてる?」
「ん? たぶん」
「じゃあ帰り、付き合って」
「なにそれ」
陽菜は首を傾げる。
「買い物?」
「まあ、そんな感じ」
「ふーん」
深く考えずに頷く。
幼馴染だから。
理由なんて聞かなくてもいいと思った。
でも。
もしこの時の私が知っていたら。
今日という日が、今までと同じじゃないことを。
これから先、少しずつ何かが変わっていくことを。
私はもっと違う返事をしていただろうか。
そんなことを考えるのは、ずっと後の話だった。



