「〝傘を閉じる前に〟のライブ映像ばっか見てたんだよ、病院で」
あの日のことを、少し笑いながら話す。
「プロのステージ見て、〝うわ、次元違うな〟って思ったけど」
「そりゃそうですよ」
「でもさ。同時に、〝ステージに立つ側の人間もいいな〟って」
その言い方に、
少し嫉妬に似た憧れが混ざっていた。
「俺、ずっと〝コートに立つ側〟でいたからさ。客席にいるだけなのは、もう我慢できない体質なんだと思う」
『我慢できない体質』という言い方に、
吹き出しそうになる。
「じゃあ、今度はステージに行ってみるか、って」
さらっと言うには、
きっと相当な決断だったはずだ。
バスケを、
完全にゼロにはしないとしても。
それでも、
〝エースとしての道〟からは降りる。
その代わりに、
別の場所で『やる側』に立とうとしている。


