「ちょっと待ってください。どうしていきなり」
「いきなりじゃないよ」
春日井先輩は、苦笑する。
「ずっと考えてた」
病院の白い天井。
リハビリ室の平行棒。
夜のスマホの画面。
「さっき言ったろ。〝三年の夏は厳しい〟って」
「はい」
「無理して戻って、また靭帯やったら笑えないしさ。バスケは、一旦ここで終了」
それを口に出す声は、
思っていたよりも静かだった。
「だったら」
春日井先輩は、
ギュッと松葉杖のグリップを握る。
「この先、違うところで〝好きなこと〟にかけてもいいかなって」
「違うところ……」
「バンド」
言い切る。


