◇ 「で、本題」 先輩は、急に表情を切り替えた。 「本題?」 「うん」 松葉杖のグリップを指でくるくる回しながら、 少しだけ息を吸う。 「その……」 いつもの、何か言い出す前の間。 「俺とバンド組まない?」 「…………え?」 頭の中の言葉が、一瞬全部消えた。 「今、なんて」 「バンド。組まない?」 聞き間違いじゃなかった。 「先輩が、バンドを?」 「そう。俺がギター」 あっさりと言う。 「で、山谷さんがボーカル」 「ボ、ボーカル……」 その単語だけで、 心臓が忙しく動き出す。