中三の冬。
川沿いで震えていた子に。
『今日まで生きてきたんだよ』とかっこつけた自分が、
今の光景を見たら、どう思うだろう。
あのときの言葉が、全部嘘みたいに思えた。
「分かったような言い方してたの、どっちだよ」
天井に向かって呟く。
バスケのことも。
人の気持ちのことも。
自分が一番分かっているつもりだった。
『エース』だから。
『司令塔』だから。
でも、本当は。
自分の悔しさと情けなさに耐えきれなくて。
ただそばにいてくれた子に、ぶつけただけだ。
「最低だな、俺」
笑おうとして、喉の奥で音が途切れる。
山谷さんが椅子から立ち上がったときの、
あの少し揺れた膝。
『私にはちゃんと分からないと思います』と言ったときの、
真っ直ぐな目。
全部がフラッシュバックする。
バスケを諦めるかどうかなんて、
そのときはまだ決められなかった。
ただひとつ、はっきりしていることがあった。
――あんなふうに当たるために、
バスケをやってきたわけじゃない。
足首の痛みよりもずっと強い後悔が、
胸の奥で脈打っていた。
きっと、この夜のことも、
あの川沿いの夜みたいに、一生忘れない。
そう思ったとき、やっと、少しだけ涙が出た。


